前回がスティーブン・スティルスとくれば、次はこのお方、ニール・ヤングとなる。
その彼が1975年に出したスタジオ・ソロ、ZUMA。
フォーク路線だったアルバム、ハーベストの頃のように爆発的に売れたわけでは無いが、当時全米25位、そして苦節22年後の1997年にゴールド・アルバムの認定を受けたので地味とは言えない存在である。
アルバム・タイトルの意味は良くわからないが、多分ニールがCortez the Killer(殺し屋、コルテス)の原曲を高校時代に作ったとき、Montezuma’s Revenge(中米でよくある下痢)にかかっていたことからZumaとつけたのではないかと考えられているらしい。
そしてこのアルバムのジャケットのデザインを見ると、中世にスペインの帆船ある入り江に到着し、まさに中米に進行しアズテック文明を征服しに来た頃を、まるで子供が描いたようなサイン・ペンの一筆書き感覚でシンプルに描かれている。
ジャケットの拙いイラストを見て、もしニール・ヤングの作品でなければ、私の感覚では、このアルバムに関してはジャケ買いの衝動は多分起こらなかっただろう。
しかしレコードに針を下ろすと、ジャケットのイメージに関する曲は得意のアドリブ・ギター・ギンギンのCortez the Killerぐらいで、残りはいつものニール・ヤング節で抵抗はまったく無い。
そのため凡人の私などは、もう少しジャケットのデザインやアルバム・タイトルなんかにも力を注げばもっと売れたのではないかといつも思う。
まあ、それが何時ものニール・ヤング。
凡人の淡い期待などいとも簡単に打ち砕く。