ロック中心のコレクションの中に少し変り種なCDがある。
あがた森魚が1974年に出した2枚組超大作の、“日本少年、ヂパング・ボーイ”である。
(レトロチックなイラスト)
(二つ折りのジャケの内側、紙ジャケCDなので虫眼鏡がないと何が書いてあるのか読めない)
あがた森魚といえば、ちょうど井上陽水が1972年に出したデビュー・アルバム、“断絶”と同年に、シングルで出した“赤色エレージー”のイメージが強い。
レトロチックな歌謡曲調でロック少年には物足りなかった。
それから2年後に出たこのアルバムは、ジャケットのデザインにかなり心を引かれたのの結局買わずじまい。一体どんな曲が入っていたのだろう?
2002年に紙ジャケで復刻され、ようやく28年ぶりに手にした。
(歌詞カードや副読本の航海日誌のレプリカが封入されていたが、これも虫眼鏡がないと読めないのでギブ・アップ)
あがた森魚少年の夢、世界一周冒険譚が描かれたトータル・アルバム。
細野晴臣がプロデュースを引き受け、かっちりとした演奏は鈴木慶一率いるムーン・ライダースのメンバーや矢野顕子ら当時ニュー・ミュージック系と称された助っ人達、さらにシュガー・ベイブの山下達郎や大貫妙子らもコーラスでチョロっと参加。
ハッピー・エンド解散の後、そしてYMOがまだ結成されていないちょうどソロ時代の細野晴臣が得意とした少しゆる目の異国情緒に溢れる味付けが全編に散りばめられ、ノスタルジックな気分に浸り結構楽しめるし、また本人の語り、歌謡曲調、ビーチ・ボーイズ調のコーラスとか、エルビスが歌ったDon’t Be Cruelの替え歌なんかも登場しもうなんでも有りのびっくり箱で思わずニンマリ。
しかしこの作品、2枚組のアルバムから一曲取り出して聴くと言うものではなく、ポップ調のオペレッタとでも言うべきか、全編を一つの作品として味わうもので、よほどの暇人でない限り完クリ出来ない難易度の高いものとなっている。
助手;博士どうしたんですか? よだれ垂らして,,,,
博士:オォ〜 つい寝てしまったわい! 世の中全てがスピード優先、レトロに染まるのも大変じゃのう〜