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オルターネイティブ・ロックのススメ その3 Wilco流ホワイト・アルバム

2018年08月20日 | AMERICAN ROCK/POPS
昨日のシメが“Out Of Timeという事でまた明日”だったので、本日またまた登場。

新進のバンドであればなかなかハードルの高い2枚組みアルバムの制作。

ジョージ・マーチンが2枚組では纏まりがないのでシングル・アルバムでの発売を推奨するも、結局実力と過去の実績から出せば何とかなるだろうと押し切り2枚組でホワイト・アルバムが...

流石ビートルズ。

WilcoのJeff Tweedyは、当時30曲もの楽曲を作りこれらを2枚組のCDアルバムにして発表したいとレコード会社に申し出た。

2枚組になると価格が上がり、オルタナ系新進バンドの場合、CDの単価も重要。

高いけど買ってみようかなどと言う気持ちは、よほどその内容がズバ抜けていないと湧いてこないだろう。

そのため1枚もののCDの価格で、2枚組CDを何とか販売してほしいとレコード会社にお願いすると言う要求を出してみた。

ほとんどのオルタナ・バンドのCDが初回盤のプレスのみで廃盤になるのが普通で、当然かなりの売上の目処が立たな限り赤字となる可能性が大きく、レコード会社はすんなり承認しない。

最終的にレコード会社はアルバムの内容を精査し赤字のリスクを取ることにし、またJeff Tweedyもこのアルバムの印税を減らすことで協力を申し出て何とか発売に漕ぎ着ける。

それが、知る人ぞ知る、知らない人は全く知らない1996年の彼らの2枚目のアルバム、Being Thereである。



二枚組CD


5人組のバンド

Wilcoはオルタナ・カントリー・ロックで知られていた前身バンド、Uncle Tuperoが分裂して出来上がった2つのうちの一方グループだった。

このアルバムでは、カントリー系だけでなく、ポップ、ロック、プログレ調(重い弦楽器の不協和音を効果に使った1曲目のインスト・ナンバーなど)さらには、ビーチ・ボーイズの香りのする曲などバラエティーに富んでいる。

このアルバム、出た当初は全米73位とそれほど話題とはならなかったが、その後年を重なるごとに、じわじわと継続して売れ続け2004年頃には通算で30万枚以上は売れたようだ。

その売上でレコード会社の売上の収支が黒字になったかどうかは定かではないが、Jeff Tweedyが60万ドルの印税を取り逸れたらしい。

つい最近このアルバムのデラックス盤が再発されたことを考えれば、レコード会社はその内容をかなり評価しているものと思える。

このアルバムの後、Wilcoは芸風をカントリーからポップやロック寄りに軸足を移し大成功を収める。

しかし私としては、後年の大ヒット・アルバムよりも、このアルバム制作時におけるJeff Tweedyの心意気を買いたい。

このWilco流のホワイト・アルバム、何か一曲を取り出して聴くのでは無く、マッタリと全体を通して聴いていくのがおすすめ。


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