アップルから音楽制作に関して適切なサポートが得られない不満から、1972年の10月ワーナー・レーベルに移籍する契約を結ぶことに事になったBadfingerだったが、翌年の7月までアップルとの契約を残していた事から思う様な活動が出来なかった。
何とか新曲の録音も進みアルバムの発売に目処が着いた頃アップルはお蔵入りしたと思われた最終アルバム、Assを同時期にぶつけて来た。
(ジャーマン・プレス盤)
そのためニュー・アルバム、Badfinger(涙の旅路)の発売は翌年に持ち越しさる事となった。
アップルは既にレーベルを抜け出したBadfingerのアルバム、Assに対して全く販売プローモーション活動を行わなかった事から当然まともな売上は望めず、また翌年に持ち越されたニュー・アルバムもその割を食ってしまったのかアメリカのチャートでは161位に沈んだ。
既発アルバムのNo DiceやStraight Upでの成功や、ジョージに率いられてマジソン・スクエア・ガーデンで行われたバングラデシュ・コンサートのステージでの勇姿などは跡形もなく吹っ飛んでしまった感があった。
ただ今一度このアルバムを聴けば、長く日の目を見なかったJemとでも言うべき曲がたくさん収録されている。
リーダー、ピート・ハム作、I Miss YouやLonly You、そしてピートとトム・エバンスとの共作のShine Onやなんて彼らの往年のヒット曲に引けを取らないぐらいの素晴らしい出来。
難を言えばジョーイ・モーランドの色が少々出過ぎって感はあるけど、全体的にまとまりのある好アルバム。
ところで日本盤発売に際して付けられた演歌ぽい“涙の旅路”って邦題、発売時には何でこのタイトル?って思ったけど、今にして思えばBadfingerの行末を的確に予言していたような…
これが涙の旅路なのか?
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