頑固爺の言いたい放題

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寿司ブームの主役は巻物

2021-10-04 13:18:49 | メモ帳
今回は9月28日の「日本食レストラン業界を牽引するノンジャパニーズ」の続編である。

日本食ブームは寿司の人気が高まったことに端を発するが、その寿司人気を支えてきた主役は伝統的な江戸前握り寿司ではなく、巻物(ロール)である。

元来アメリカ人はあまり生魚を好まない。そこで、寿司職人は生魚を使わないか、またはナマの印象を薄める工夫をした。そこで生まれたのがアボカドとカニカマを具にして、寿司飯を外側にして巻いた巻物(ロール)であり、カリフォルニア・ロールと呼ばれる。

これが大ヒット商品となったので、いろいろなヴァリエーションが生まれた。
▼カリフォルニア・ロールを油で揚げたフライド・カリフォルニア・ロール。

▼エビの天ぷらを具にしたシュリンプ・テンプラ・ロール。

▼ソフトシェル・クラブを具にしたスパイダー・ロール。両端にはみ出たカニの脚が蜘蛛(スパイダー)のように見える。

▼アボカドのスライスを外側に張りつけたキャタピラー・ロール。触覚や目玉もつけるので、まるで巨大な芋虫(キャタピラー)である。

▼スライスしたマグロ、ヒラメ、サーモン,ハマチを外側に貼り付けたのがカラフルなレインボー・ロール(写真)。

こうした定番ロール以外に各店それぞれ工夫をこらして、オリジナル・ロールを考案するから、20種類ぐらいのロールがメニューに載ることになる。

ところで、なぜ海苔を内側にしたのか。そもそも、アメリカ人は海苔を知らないし、黒い紙のような食べ物は異様に見える。和英辞書には海苔の訳語としてsea weedと記載しているが、weedは雑草だから印象が良くない。おまけに、磯の香を好まないアメリカ人が多い。それなら、いっそのこと海苔を見えなくして、香りも消してしまおう、ということだったのではなかろうか。結局、業界では海苔をnoriのままで押し通すことになった。

ともあれ、アメリカ人を主な顧客とする寿司店では、握り寿司にはあまり重きを置かないからネタ数が限られる。そして、ノンジャパニーズの寿司シェフは寿司の握り方を知らない。手が空いた時、セッセとシャリ玉を拵え、魚をスライスしておく。これではネタもシャリ玉も乾いてしまうが、意に介さない。注文があると、用意してあったスライスをシャリ玉にのせて、ハイ出来上がり。

握り寿司の達人は三手で握るというが、彼らはシャリを何度もこねくり回して、なんとか楕円形にまとめる。

寿司飯はその日の内に使い切るのが常道だが、彼らは余ると翌日に使う。それでは寿司飯が水分を吸い込んで柔らかくなってしまうが、客もそんなものだと思っているから苦情を言わない。

握り寿司は素人でもなんとかそれらしき形に作れるが、巻物はそう簡単ではない。そこで巻物ロボットが寿司店の必需品になった(写真)。


生魚の管理も心配である。実際に食中毒も起きているようだ。

今や、寿司に限らず、日本食ビジネスは日本人の手を離れた。ノンジャパニーズが経営者で、ノンジャパニーズが調理し、ノンジャパニーズが客である店が大部分なのである。イタリア発のスパゲッティがイタリア人抜きの世界になったのと同じ構図である。

それでは、日本食ブームでも日本人には何のメリットがないのか、といえばそうではない。必需品の醤油はキッコーマンの独壇場だし(但し、主力工場は日本ではない)、日本酒や味噌、寿司ロボットのメーカーも我が世の春を謳歌している。

コロナ以前は外国人観光客が激増したが、本場の寿司やラーメンに興味があった人も多かった。業界はコロナ収束をさぞ待ちわびていることだろう。

それやこれやで、日本食の人気上昇は日本経済の拡大に多大な貢献をしているのである。



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4 コメント

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Unknown (市井に暮らす一無名氏)
2021-10-04 19:09:49
良く分かりました。さすがにこの分野の
プロフェッショナル、脱帽です。

米国に駐在してた時、日本人経営の
日本人が握る寿司屋に米国人を連れて
ったら、
*海苔巻は食べない
*きんぴらごぼうの牛蒡を「日本人は
 こんなものまで食べるのか」と言われ
*生魚は結局ダメで、玉子焼きと
 板さんに拝み倒して作って貰った
 何とかロール


コロナ前に訪米した時、その店を訪れ
ましたが、日本人経営は変わらぬものの
従業員が殆ど全てメキシコ人になって
いて、メニューも劇的に変わっていて、
ファミレス状態。まぁ、これはこれで仕方
ないと思ったものでした。

でも、これがジャパニーズ・スシと
思われたのでは、何とも慚愧です。
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こんばんは (続強子の部屋)
2021-10-04 22:05:37
昔々ラスベガスのホテルで、お寿司を食べました。
日本人の板さんで楽しく頂きました。
有名な板さんだそうです。
私は鮭の皮を香ばしく焼いた物を、巻いた物が気に入って、3日連続で食べました。
夫は鰤かまの焼いたのを3日連続で食べていました
三日目はとても高かったそうです。
三年後に行ったら、ホーターズになっていました。
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典型的アメリカ人 (頑固爺)
2021-10-05 09:48:06
市井に暮らすー無名氏様
その方は標準的アメリカ人ですね。海外の寿司店はそのような人たちを相手にしなくてはならないので、必然的に非日本的でありながら、日本的であるように見せかけるテクニックが必要なのです。
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ぶりかま (頑固爺)
2021-10-05 09:54:28
続強い子の部屋様
いい想い出ですね。私もぶりかまが大好物です。私と気が合いそうなご主人です(笑い)。
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