世界では今や、温室効果ガスを削減することが「正義」となった感がある。そして、去る11月中旬のグラスゴー気候協定には、2100年の世界平均気温の上昇を産業革命前に比べて1.5度以内に抑える努力を追求することが盛り込まれた。
素朴な(または阿呆な)疑問だが、例えば東京の最高気温を仮に40度として、CO2を削減することで平均気温が38.5度に下がったとしても、猛暑であることには変わりないし、我慢できる範囲内だ。そのたった1.5度の気温低下に莫大な資金を投じるのは過剰反応ではないだろうか。
さて、気候協定が問題にしているのは、世界の平均気温である。そこで世界の平均気温とは何かをネットで調べると、基本的には、<月ごとに、地球の全地表面を緯度方向5度、経度方向5度の格子(5度格子)に分け、各格子の月平均気温の偏差(平均気温から1991~2020年の30年平均値を差し引いたもの)を算出します>とある。要するに、平均気温は地球上の無数に近い地点で気温を計測して算出するらしい。
その平均気温の地域偏差を調整した「世界の平均気温偏差」は下のようなグラフになる。
このグラフは1890年を起点にしているから、その時から世界中の気温計測が始まったのだろう。ともあれ、平均気温偏差はマイナス0.8度とプラス0.4度の間に収まっているが、一貫して上昇傾向であることがわかる。
そこで生じる疑問は
- 平均気温偏差はマイナス0.8度からプラス0.4度の間の1.2度だが、その程度の差が異常気象の原因になるのか。
- このグラフは1890~2021年の僅か131年を対象にしているが。気候変動は何百年、何千年というとてつもないスパンで起きているのではなかろうか。
ところで、1970年代には「地球温暖化」ではなく、「地球寒冷化」が懸念されていた。確かに1970年代は気温が低下していたことが、上のグラフでも読み取れる。
当時の学術書を調べると、1973年の「氷河期へ向かう地球」、「冷えていく地球」(ともに故根本順吉―気象庁勤務―の著作)、1975年の「氷河時代」(故鈴木秀夫、東大名誉教授)、1976年の「大氷河期:日本人は生き残れるか」(故日下実男 東大名誉教授)、1982年の「氷河時代がやってくる」(フレッド・ホイル、竹内均訳)などがあり、1980年代初頭までは地球寒冷化が大真面目に議論されていたことがわかる。
その後、1980年代終わりごろから、温暖化が懸念されるようになり、2006年のアル・ゴア(元米国副大統領)が出演した映画「不都合な真実-地球温暖化の危機」によって、「温暖化の危機」が世界のマジョリティーとなった。
こうして過去の推移を調べてみると、<地球は冷却化と温暖化を繰り返しているのではないだろうか>という疑問が生じる。そんな疑問は浅はかな素人考えだと言われればそれまでだが、同じような疑問を述べている学者がいることも事実である。日本でも渡辺正氏(東大名誉教授)とか武田邦彦氏(元中部大学教授)など。
十数年前、フィージー島の北にあるツバルが水没の危機にあると報じられたが、それは海面上昇によるものではなく、地盤沈下が原因であることが判明している(付近の島々では海面上昇がおきていない)。また北極の白熊が減少していることが温暖化の証拠(海面上昇)だと言われたが、最近白熊は増加している。
現在は温暖化説が圧倒的に優勢だが、真実は多数決で決まるものではない。どちらが正しいかは数十年後、数百年後でないとわからないと考える。
排出が桁違いに増加し、光合成をして
大気を浄化してくれる森林が砂漠化、
南極、北極の氷が減少し、氷河が溶け
続け、ヴェニスが水没しつつあって、
拙者が幼い頃の降雪も無く、亜熱帯の様な
真夏の気温・・・
これだけでも、明らかに地球は温暖化して
るのと違いますか?
二酸化炭素の排出を何とかして減らす
方向へ世界中の国が努力して行く事は
喫緊の課題と思います。
太陽の黒点の動きやらなんやらで
単純な右肩上がりでないものの、
明らかに地球が壊れてきてるのでは?
杞憂でなければ宜しいのですが、地球の
温暖化が世界的なissueになっているのは
科学的な裏付けがあってのものと思います。
貴殿のご意見は確かに現在における世界の常識ということになっています。
それでは、東京湾や大阪湾は数千年前にはもっと奥まで入り込んでいたこと(つまり、人類が化石燃料を燃やすようになった以前の数千年前は、もっと地球の水位は高かった)をどのように説明するのですか。
そこで提案です。本屋で新刊の「EV推進の罠」を立ち読みして、253ページにある加藤康子氏の「確かに地球温暖化とCO2の関係は学術的に確立された話ではありません」の前後を読んでいただけませんか。自動車の専門家たちでさえ、温暖化とCO2の関係に確たる自信があるわけではなく、とりあえずは「現在の常識」に基づいて議論していることがわかります。
東京湾等の件は仰る理由じゃなく、
「地表面の隆起」と言う切り口で考察
する事も必要かと思います。
ご紹介頂いた本は購入して読みましょう。
書店がどんどん消えて行く背景には
老若を問わず、SNSの普及やそもそもの
活字離れがありましょう。
蟷螂の斧ではありますが、自分は書物は
買って読むのを徹底しています。
先日 TVで某世界的大企業の役員が、
「・・・それでは早速、図書館で借りて読み
ましょう」と言っていました。売れてる本の
書評を語る番組で、出演者は唖然として
いました。
彼(等)こそ、日本人の知的啓蒙に多大な貢献
をしてきた「街の本屋」を直接的に消し去って
いる張本人でありましょう。
話が脱線してしまい恐縮です。
失礼を顧みず「EV推進の罠」の立ち読みをお勧めしたわけは、本書で「地球温暖化」について書いているのは、その2ページだけだからです。念のため申し添えます。