Saitolab 「なにもせんほうがええ」

婚しては妻に従い ボケては猫に従う

燃えつきた地図ふたたび

2012年05月05日 | 書籍・映画・音楽
GW後半となる4日(金)は青葉台から田園都市線で押上まで出る。スカイツリーはスルーして京成で柴又へ。そう今回の散策は「男はつらいよ」のロケ地探訪が目的。現在WOWOWで金曜寅さん特集として毎週金曜に1年がかりで全話放送が組まれている。今のところ録画して欠かさず観るようにしている。寅さんにそれほどの思い入れはないが、出演されている俳優さんの多くは今や鬼籍となり、それに映画で映る昭和の風物がなんとも懐かしい。柴又のロケ地探訪といっても柴又の駅前と帝釈天参道、それに「柴又屋(とらや)」と「高木屋」を見物する程度。WOWOWの映画は四作目まで観終わったところなのでそれにちなんで柴又屋にて草だんごを買い求める。帝釈天辺りから雨も降り出したので柴又探索もそこそこに次は金町へ移動。今回の散策で同行いただいたリョウさんのお供で増太郎裁鋏製作所を訪れる。職人さんが精魂込めて仕上げられた裁鋏の様々を二代目のご主人から説明を受ける。大量生産品では得られないプロ用の道具としての完成度を目の当たりにする。鋏を握り込むときの刃先の合いとほんの微かな手応えに高い工作精度が伺える。実際にウエスを切らせてもらったが切っていることを感じさせない。ここの鋏は服飾系の他にカーボン繊維の裁断やゴム製品のバリ処理など様々な用途での注文があるとのこと。気になるお値段も通常の3倍ほどはするが製造工程を知れば安いくらいかも知れない。仕事で鋏を使うなら迷うことなくこういう道具を選ぶことだろう。残念ながら裁鋏を使う機会はないので小さなニギリ鋏を一挺譲っていただく。金町の次はJRで移動して赤羽へ。リョウさんを「燃えつきた地図」ロケ地へご案内。2年ぶりに訪れた赤羽団地は更に立ち退きが進み閉鎖区域が増えていた。前回空き地だったところには新しいマンションが完成し新旧のコントラストが際立っていた。原作で主人公が記憶を無くしていくが如く坂の上の、カーブの向こうの景色は今まさに消滅しつつあるのだった。しかし不思議なことに立ち退きが完了し封鎖された旧団地群よりも真新しいマンション建屋のほうが空虚にして無機質な廃墟に見えるのは何故だろうか。リョウさんと私は最後の風景をかき集めるか如く無言でひたすらカメラのシャッターを切り続けた。
コメント (2)
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