ブックオフで「ぢるぢる旅行記」を見つけて購入。「ねこぢるうどん」は20年前に購入して何度も読み返していた。戸川純に始まるサブカルの匂いがプンプンした。そのうち「ねこぢる」ブームが来てメジャーになりかけた頃、作者が自殺して一気にブームは終息に向かった。「昆虫(のような理性のない生き物)になりたい」という作者の峻烈な言葉は今も覚えている。そんなことを回想しつつ通勤帰りの田園都市線で早速半分ほど読み進む。悲惨で不潔で混沌としたインド旅行記がシュールに描かれていた。自分もインドへはプライベートで旅をしたことがある。ゴールデン・トライアングルと呼ばれるデリー、ジャイプール、アグラを巡った。しかしそれは観光客として隔離された位置から高みの見物をしたに過ぎなかった。本当のインドを感じるにはこの漫画のように同じ視線まで堕ちなければ到底理解できないのだろうと思う。似ていてもエジプトやトルコとはまったく違う異質な気配を感じそれが大きな壁となり余所者が溶け込むことを拒んでいた。或いはそれは国自体に今なお根付くカーストに起因した絶望だったのかもしれない。
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