昼のガスパール・オカブ日記

閑人オカブの日常、つらつら思ったことなど。語るもせんなき繰り言を俳句を交えて独吟。

春の空

2018-03-19 22:05:44 | 俳句

今年は日本もそうだが、ヨーロッパでも異常気象が続いている。
パリでは昨日、雪が降ったそうだ。
近年の温暖化で、10年ほど前の3月に訪れたパリでは、この時期は半袖だった。
12月からのセーヌ川の氾濫といい、さすがのパリっ子も肝を抜かしているに違いない。
しかし、ヨーロッパの3月は美しい。
1年で一番美しい季節ではないか?
以前は、4月、5月が好適な次期であったが、今では4月も中旬になると驚くほど暑い日が続くことがある。
春は訪れ、過ぎて、去っていく。

負ぶわれて眺むる想ひ春の空   素閑

亡き友もかすみ踊るか春の空   素閑

この角を曲がりて空き地春の空   素閑

荒れた地に青草一本春の空   素閑

春天の白くまとひぬ薄衣   素閑

みな飛びて雀を追いぬ春の空   素閑

早暁を砕き割り出る春の空   素閑

洋の間の温き紅茶や春の空   素閑



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卒業

2018-03-18 21:03:30 | 俳句

ここ十数年と言うもの、床屋といったところに行っていない。
床屋で調髪してもらうのではなく、ずっと、かーたんが電気バリカンで丸刈りにしてくれる。
しかし、これは二人のスケジュールが合わないと、少し困ったことになる。
ここのところ、かーたんもオカブも立て込んでいたので、オカブの頭のことまで手が回らなかった。
しかし、今朝、ふと鏡を見ると、オカブの容貌が葎の山賊のような態をなしていた。
これで、今まで外を歩いていたかと思うと、情けなくなる。
今度の祝日に、刈ってもらうことにしよう。

重き空なにとなるなく卒業す   素閑

卒業の馴染みのコロッケ定食屋   素閑

卒業の免状丸めて床に投げ   素閑

卒業に集まる友も今や二人   素閑

卒業のなんとはなしに母恋し   素閑

卒業しつひの学校よりの路   素閑

嵐去るあしたの学舎卒業す   素閑

卒業し明日は遠き町に赴く   素閑

病臥し友の卒業するを聞き   素閑



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初花

2018-03-17 21:24:09 | 俳句

うららかな春の日である。
どこかへ出かけてみたい気もするが、当てもないし、連れもいない。
かーたんは蒲田でコンサートに出演。
オカブは独り家で燻っている。
フルートの練習で、ちょっとした発見があった。
今までの奏法では、まったく掴めなかった音の出し方のコツがやっと垣間見えたような気がした。
これまでの吹き方は唇、喉をはじめ全身に力が入り過ぎていた。
身体の力を抜くことにより、より力強く太い音を出せることを、次第に感得しつつある。
アレクサンダー・テクニークという技法がある。
別に楽器の奏法ではなく、全身の力を抜いて、重要な焦点に集中させるための心身鍛錬法、要はヨガのようなもので、音楽はもちろん、スポーツや健康法などにも応用されている。
かーたんの友達にこのアレクサンダー・テクニークの習得者がいるので、こんど弟子入りして来ようと思う。、

初花の五酌の酒に頬赤し   素閑

堀割に亀の甲干す初花や   素閑

鳩群れて子らが手毬す初花や   素閑

仔犬馳せ娘の追うる初花や   素閑

初花や小餅を老母に渡したり   素閑

詰襟の生徒が通る初花や   素閑

暗闇や燭に初花ただ一輪   素閑

初花の一張羅にて紺背広   素閑




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鐘霞む

2018-03-16 22:05:59 | 俳句

昨日より少し寒くなってきた。
寒暖を繰り返しながら、本格的な春になって行く。
春の情趣は深いが、春は出会いとともに別れの季節である。
想いは複雑である・

とりとめのなき話の間鐘霞む   素閑

飯食ひて腹も膨らみ鐘霞む   素閑

突き詰めて決の出ぬ議事鐘霞む   素閑

銀笛の肌も荒れなむ鐘霞む   素閑

土運び地を圧しつくすや鐘霞む   素閑

峠道腰を下ろすや鐘霞む   素閑

薄晴れや急ぐことなし鐘霞む   素閑

静寂や鐘の霞の恋の池   素閑


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日永

2018-03-15 22:32:55 | 俳句

暖かい。
20℃を超えている。
5月初めの陽気だという。
明日からは寒くなるそうだ。
どうしたものか?
寒暖が繰り返し、生身の人間はついていけない。

日永きにてふとたわむる昼下がり   素閑

寒き風吹くも日永き伊吹山   素閑

行く道をたどり止まるや日の永き   素閑

鰻釣り橋より眺む日永かな   素閑

けふの日の日永は明日につづきけむ   素閑

日の永し辻で頬張るジャムのパン   素閑

荒れた野も青のいでしか日の永し   素閑

大塔の宮の洞差す日の永し   素閑

音の無き座敷にうつろ日の永き   素閑



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受難節

2018-03-14 22:57:11 | 俳句

『広辞苑』の新刊が成ったというが、実際のところ実用的な価値はほとんどない。
日本語、漢語の意味はネットでいくらでも調べられるし、提供される情報には事欠かない。
岩波が時流に乗った語句を『広辞苑』に載せても、そんな註解に誰が興味を持ち、価値を感じるのだろうか?
確実に、情報のデジタル化、ペーパーレス化は進んでいる。
ふた昔もさらにその前に、マイクロソフトの古川享社長(当時)が、今後はコンピュータ・システムではなく、情報データに価値を見出す世の中になって行くだろうという予想的談話を聞いたことがある。
しかし、一方では、古川氏の予言通りになったが、一方では予言は大きく外れた。
既存の付加価値を生み出さないデータの価値はどんどん低下していく。
そんな時代になった。
昼に蕎麦を食った。
昼から、銚子をつけた。
まぁ、これも瘋癲の暮らしの余禄である。

竹箒新しく替え受難節   素閑

新しき根株土掘る受難節   素閑

ひそやかに人集まれり受難節   素閑

旋盤の火花飛び散る受難節   素閑

波返す人なき入江受難節   素閑

魚の眼や世をみつくしめ受難節   素閑

茶の小瓶浜に投げ入れ受難節   素閑

温き酒吞んでにがしか受難節   素閑

草の根を食みし我が家の受難節   素閑





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嫁菜飯

2018-03-13 22:37:40 | 俳句

関東と関西の違いは?と聞かれると、普段、両者は違う違うと言っている人も、答えに窮するだろう。
巨人ファンと、阪神ファン?いやいや、関西には意外と巨人ファンが多いものである。
鰻の割き方が、関東と関西では異なると聞いたことがある。
大井川を境に、それが変わると聞いた。
関東では鰻を背開きにする。そして蒸して白焼きにしてから、たれをつけて蒲焼にする。
関西では、鰻を腹開きにする。そして蒸したり白焼きにしない。いきなり蒲焼である。
どうして、そうした違いができたかと言うと、関東の川は、火山性の成分が強く、酸性で、鰻が生臭いからとかなんとか言っていた。
だから蒸して白焼きにするという手間暇かける。
鰻は美味いが、そうそう普段は食えない。
もっと身近な、関東と関西の違いを見つけて、悦に入ろう。

冷えし風大土間に吹く嫁菜飯   素閑

薄き茶で掻き込み喰ふや嫁菜飯   素閑

かまびすき友黙らせて嫁菜飯   素閑

野の川を辿り水根や嫁菜飯   素閑

嫁菜炊く薄くけむるや里の古家   素閑

店仕舞う家に駆け込んで嫁菜飯   素閑

取り違う箸三本や嫁菜飯   素閑

青薫る湯気あじわふや嫁菜飯   素閑

白化粧念に入りたる嫁菜飯   素閑



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春の月

2018-03-12 22:08:40 | 俳句

オーストリアの貴腐ワインを手に入れた。
半年ほど前の日経の土曜版で『デザートワイン・ランキング』一位に輝いた品である。
また、これは、かーたんのコンサートで世話になっている、オーストリアワインの輸入を専門にやっておられる方が手掛けている品である。
『オーストリアワイン・ドットコム』
なんとなく、知人が仕事で成果を出しているのを見るのは、心地の良いものだ。

春の月蔀を開けて迎へゐる   素閑

船べりにさざ波映す春の月   素閑

六本木ネオンと紛ぎゆ春の月   素閑

猩々も酔ひ寝入るなり春の月   素閑

春の月高校二年の逢瀬かな   素閑

春の月行き過ぎていく街の人   素閑

春の月里の総出で見送りぬ   素閑

春の月格子の影に夜半を知る   素閑




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水温む

2018-03-11 21:20:16 | 俳句

コンピュータと言う機械は、なにやら複雑で先進的な匂いのするイメージだが、オカブのようなユーザにとっては至ってシンプルなツールだ。
オカブは基本、コンピュータをワープロ(かな漢のついたエディタ?)としてしか、使っていない。
しかし、このシンプルな機能がオカブにとっては極めて革新的な変革をもたらした。
要は、オカブにとってはコンピュータは、書き、消し、編集し、切り貼り、保存、削除なんでもござれの魔法の原稿用紙なのだが、この原稿用紙は、数十年前に喧伝された「知的生産の技術」など吹っ飛ぶような革命なのである。
文書上の情報をいかようにも創造、加工ができるばかりではなく、思考を整理し、新たな思考を生み出すことを大きく支援する。
未だに、コンピュータを清書の道具としか使っていないご老人もいるようだが、猛省を促したい。
文書処理にしか使っていないオカブも他人のことを言えた義理ではないが・・・

水温む十日土曜の川遊び   素閑

掬いたる水の温きに指まろぶ   素閑

プロポーズどうと答えず水温む  素閑

味噌蔵のおぐらき微風水温む   素閑

野風吹く二人憩ふに水温む   素閑

小さきやしかとかすかや水温む   素閑

水温むあしたの野辺の日を祀る   素閑

弥勒佛里人柴負ひ水温む   素閑

水温む皴手に滴残りたり   素閑



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薪能

2018-03-11 08:50:28 | 俳句

茶を飲む、という日常茶飯事の行為にも、世界各国でそれぞれ感覚が違うことに、今回渡仏して思い知らされた。
日本で、茶・・・まあ珈琲だが・・・を飲むとしたら、家庭では美味しい豆を挽いて、美味い菓子と一緒になどと考えるだろう。
また、外では、友人知人と喫茶店に入ってわいわいなどといった場面が思い浮かぶ。
あるいは、最近では、スターバックスに入って、ノートパソコンをwifiに繋いでじっくりお仕事、みたいのもある。
しかし、フランスのは、ちと違う。
カフェに飛び込んできて、キャフェ!と注文して、コントワールで、出てきたエスプレッソをずずっと啜って、小銭で払いを済ませて、飛び出していく。一分もかからない。
茶に関しては普段は"猫の"フランス人の方がよほど、忙しそうだ。

能まひて薪に燃ひゆる善知鳥かな   素閑

薪能ゆらゆら雨に月の影   素閑

薪能京の大江の山おろし   素閑

薪能炎のてるる京緞子   素閑

薪能うすべら麦のにおひかな   素閑

薪の火妖しの精のまへる能   素閑

瘦男薪に映り凄きさま   素閑

弘徳の長者の勧進薪能   素閑

薪能菜に生貝に干し鰯   素閑

いつもながらたどる野の道薪能   素閑



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