これは したり ~笹木 砂希~

ユニークであることが、ワタシのステイタス

トーテン・ショコー

2010年01月07日 20時56分45秒 | エッセイ
 今日で冬休みも終わりだ。
 気になるのは、娘の宿題である。休み中、ほとんど勉強している様子がなかったので、心配になって聞いてみた。
「宿題終わったの?」
「うん、あと書き初めと社会だけだよ」
 つまり、終わっていないのだ。
 それなのに、今日は午後から部活がある。
「書き初めだけは、部活の前に絶対終わらせないとダメよ!」
「わかったよぅ」

 朝食後、娘はイヤイヤながら書き初めを始めたけれども、お手本通りに書けなくて苛立っていた。書き初め用の筆を使えばいいのに、太筆で書いているからだろう。
「ミキ、書き初め用の筆は?」
「先生が買ったほうがいいって言ったけど、すっかり忘れてた……」
 ちょうど、スーパーに行く用事があったので、そこで筆を調達する。
「わあ、すごく書きやすい。お母さん、ありがとう!」
 娘は喜んで書き初めを仕上げたが、片付ける時間がなくなってしまい、慌てて部活に飛び出していった。残されたすずりや筆を見ていたら、ふと昔を思い出し、書きたくなってきた。字は決して上手ではなかったが、書道は好きな科目だった。
 幸い、半紙はあと10枚ほど残っている。

 よし! 私もいっちょう、書き初めに挑戦してみるか!!

 お手本は「東天初光」。「東」はバランスが取りやすく簡単だ。「天」は画数が少ないのに、字が躍ってしまい難しいから、何度も二度書きして誤魔化した。「初」はもっと書きにくい。何度挑戦しても、ころもへんと刀のコンビネーションが悪い。「光」も思うように書けないが、それらしく見えるから何とかなった。
 書けたものを乾かすのに、うってつけの場所があった。洗濯物を干す、ピンチつきの角ハンガーだ。



「何だ、変なものがぶら下がっているな……」
 夫には奇妙な目で見られたが、これは場所を取ることもなく、コンパクトに乾かすことができる。欠点は、洗濯ばさみのあとが残るところだろうか。気になる場合は、あて紙をすればよい。
 実技系の科目は、1枚目よりは2枚目、2枚目よりは3枚目というように、練習すればするほど上達する。自分が中学生のときは、頭でわかっていてもそれができず、根気が足りなかった。
 教員になってからは、生徒が反復練習を繰り返し、熱心に努力する姿に逆に教えられた。決して理解力が高いわけではないけれども、「頑張ればできるようになる」と信じて辛抱強く学習を続けた結果、検定に合格したり大学に受かったりした生徒がたくさんいる。
 今回は、時間がないので5枚で終わりにした。あまり上手に書けなかったけれども、100枚練習すれば、きっとお手本と寸分たがわぬ出来になるだろう。

「ねえ、お母さんも書いてみたよ。どう?」
 部活から帰った娘に、書き初めの成果を披露した。



 娘は無言のまま、じっと半紙を見ていたが、いきなり右端の書き初めに手を伸ばした。
「これに、ミキの名前を書いて持っていく!」

 違う~!! アンタのために書いたんじゃない!!




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コメント (18)
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