これは したり ~笹木 砂希~

ユニークであることが、ワタシのステイタス

博物館に初もうで(2)

2015年01月08日 21時54分33秒 | エッセイ
 高3の娘は、展示品を見ては、好き勝手な感想を言う。
 聖徳太子絵伝。



「4コマ漫画じゃね?」
 うーん、似ているかもしれない。
 面。



「アゴが長い」
 ヒゲだろッ!
 だが、私もどっこいどっこいかもしれない。
 般若。



「トップ画にしたら~?」
 日本刀。



 キラーン。
「これ見て化粧できるね」
 掘り出し物もあった。
 袱紗。



 華麗な刺繍に感激である。
 背が低いもので、この角度が限界だったが……。
 屏風もなかなか。





 だが、こちらの屏風の前では、軽口も叩けなくなる。
 チラシの顔にもなっている、国宝「松林図屏風」は何度見ても素晴らしい。



 2010年に、長谷川等伯展でお目にかかって以来だ。
(関連記事「長谷川等伯展のツッコミどころ」はこちらから)
 ここだけ異様に人の流れが悪くなっている。誰もが立ち止まっては、作品を凝視していくからだろう。



 娘も例外ではなかった。
「……何これ。ゾクゾクしてくるよ」
 墨一色しか使っていないのに、雪山の寒さや奥行き、霧などを見事に描き切っている。ぼんやりと浮かぶ松の輪郭が、この世のものとは思えぬほど儚げだ。触れたとたんに、消えてなくなりそうな気がする。
「すごいね、この屏風が一番いい」
 そりゃそうだろう。「近世水墨画の最高傑作」という評価を見るまでもなく、この作品には人を惹きつける妖しい力が渦巻いている。お正月には毎年公開しているらしいから、来年も会いにきたい。
 作品を鑑賞したあとは、テラスで外の空気を吸う。



 そこが雪景色でなかったことに、私はちょっと安堵した。


    ↑
クリックしてくださるとウレシイです♪

※ 他にもこんなブログやってます。よろしければご覧になってください!
 「いとをかし~笹木砂希~」(エッセイ)
 「うつろひ~笹木砂希~」(日記)
コメント (8)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする