コロナが5類引き下げとなってから、親友の幸枝と出かける機会が増えた。
「今度、天神峠に行ってみない?」
「どこにあるの、それ」
「上毛高原からバス。割に近いよ」
「ふーん。行ってみたい」
よくわからなかったので、ネットで調べてみたら、麓の土合口駅まではバスで行き、そこからロープウェイに乗って天神平駅に上がり、リフトか徒歩で天神峠に到着するようだ。それはともかく、天神平から分岐するもう一つの道を行けば、あの谷川岳に登れるということもわかり驚いた。
「えっ、すごい。せっかくだから、ちょっとだけ谷川岳も登ってみたいな~」
アウトドア派の幸枝は何度も谷川岳を制覇している。どんなものかと聞いてみたら、予想に反して彼女はいい顔をしなかった。
「初心者コースって書いてあるけど、岩場が多くて危ないよ。下りられなくなって泣いている女性もいたし、毎回のように救助のヘリが飛んでるからね」
「ふーん」
「しかも、登ったと思ったら下りになって、また登り直し。それの繰り返しだけど大丈夫なの」
「……大丈夫じゃないかも」
ちぇ~っと思ったが、足手まといになってもいけないので、今回は素直に諦めることにした。山は逃げないから、もっとコンディションのよいときにしよう。
当日、東京都心の最高気温は37度だった。汗をかきかき電車に乗り、大宮から新幹線に乗って上毛高原に着く。まずは、標高746mの土合口駅からロープウェイに乗った。
料金表を見ると、「ペット800円」との表示に気づき、クスリと笑う。犬などは喜んで走り回ることだろう。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/20/bb/d22ba8118a1dfecf76ef1f5b021d5c1d.jpg)
しばらくすれば、標高1319mの天神平駅に着く。一気に573mも上がってきたわけだ。ロープウェイから外に出ると、空気がひんやりしていた。
「うっ、寒ッ!」
それもそのはず、霧が深くて景色が霞んでいる。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/11/57/2566dda8bd4f1eec092916837d910d73.jpg)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/6b/86/0393669d93154b78e44b2962911edb82.jpg)
「遠くが見えない」
展望の頂と書いてある案内板を目にして、どこがだよと毒づいた。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/30/5f/eb02bc7de3d06472009e9246287bbbe2.jpg)
そんなときでも幸枝は楽しんでいる。
「じゃあさ~、まず、あの鐘を鳴らしてみよう!」
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/50/ff/fc74cb3a42d7bfc2e87dc9b0a0cd74d7.jpg)
カランカラーンと乾いた音が響き、トレッキングが始まった。行く手は霞んでいるけれど……。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/16/d8/22feb553252899b6d7a7397038b71e02.jpg)
幸いなことに雨は降りそうにないが、山も見えない。
めげずに、上り坂を歩いていく。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/06/c7/427651793b1ea9c66e38ad700006fbcd.jpg)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/67/16/00a7718dc4bb645e2af1fd3c5fd1a5ff.jpg)
途中で、石の上に載っている犬の糞にギョッとした。踏んでしまったら大変じゃないかと顔をしかめる。街中でも山の上でも、糞の処理はしっかりしていただきたいものだ。
標高が高くなるにつれ、徐々に景色が変わってきた。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/72/40/12282cf45c2284a6550233c4786bece6.jpg)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/67/b6/7d387ac2ff02f8e2d0cb70bce49c0f47.jpg)
「おお~、何か山らしい景色が見えてきた!」
「霧が晴れてきたね」
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/58/20/7f86f8ead2905814cee7ece25fe77fad.jpg)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/29/7c/0703127f5eef8d517caf43a010ba3bf6.jpg)
まもなく天神峠。天神平駅からリフトに乗れば、山道を歩かずに来られるので、スカート姿の女性や軽装の男性も見えてくる。苦しい思いをしたくはないが、山の空気や景色を堪能したいという方にはいいだろう。
「着いたっ!」
標高1500mジャストの天神峠に到着だ。181m上がるのに約40分かかった。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/67/3a/c866e20bca6078d95b416e0047f06ebe.jpg)
しかし、霧しか見えない……。
1977mの谷川岳が見える絶景スポットも、ひたすら白い。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/73/28/76976c4275863130d66750a1c9f44a41.jpg)
「うーむ」
「むむむ」
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/77/78/ab95ce0028b6865a7b5963412b0c96fb.jpg)
展望台に上って、「そのうち霧が晴れるのでは」と期待し待ってみたが、一番よく見えたときでもこの程度。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/63/3a/84666d78738ab50b047d0c1d91ee6303.jpg)
私に登られたくなくて、谷川岳は姿を見せてくれないのかも。拒否されると「なんでよ~!」と余計に燃えてくる。
「今日は無理だね」
「うん。神社でお詣りして帰ろう」
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/44/09/2bd361bc48c82fe8e9363b9eb8ffcc1e.jpg)
諦めて下山を始める。帰りはゲレンデから下ってみた。こちらは割に明るい。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/00/1a/9c224c60c08db70e2a6f57db527a8a60.jpg)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/20/ee/920463edf72b18378525bee2970fd4fc.jpg)
谷川岳は一部しか見えなかったけれど、他の山が見えたから気分も上がる。山には人の気持ちを高揚させる何かがあるから、山岳信仰なるものが生まれたに違いない。毎日、仕事で小さいながらもトラブル多発でストレスを抱えているが、「そんなものは、どうでもいい」と割り切れるようになるのが不思議だ。
ロープウェイに乗る前にランチをいただく。シチューのパングラタンにした。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/4c/97/10fde82f666381708d901476b0a3819b.jpg)
ちなみに、おみやげは幅4cmのこのうどん。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/28/6d/4280a1883edd156ffbe1beca009eb420.jpg)
埼玉県鴻巣市の川幅うどんよりは細いが、家族には「おもしろい」と好評だった。まだ食べていないけど。
さあ、次こそ、谷川岳につながる道に行ってみよう。
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「いとをかし~笹木砂希~」(エッセイ)
「うつろひ~笹木砂希~」(日記)
「今度、天神峠に行ってみない?」
「どこにあるの、それ」
「上毛高原からバス。割に近いよ」
「ふーん。行ってみたい」
よくわからなかったので、ネットで調べてみたら、麓の土合口駅まではバスで行き、そこからロープウェイに乗って天神平駅に上がり、リフトか徒歩で天神峠に到着するようだ。それはともかく、天神平から分岐するもう一つの道を行けば、あの谷川岳に登れるということもわかり驚いた。
「えっ、すごい。せっかくだから、ちょっとだけ谷川岳も登ってみたいな~」
アウトドア派の幸枝は何度も谷川岳を制覇している。どんなものかと聞いてみたら、予想に反して彼女はいい顔をしなかった。
「初心者コースって書いてあるけど、岩場が多くて危ないよ。下りられなくなって泣いている女性もいたし、毎回のように救助のヘリが飛んでるからね」
「ふーん」
「しかも、登ったと思ったら下りになって、また登り直し。それの繰り返しだけど大丈夫なの」
「……大丈夫じゃないかも」
ちぇ~っと思ったが、足手まといになってもいけないので、今回は素直に諦めることにした。山は逃げないから、もっとコンディションのよいときにしよう。
当日、東京都心の最高気温は37度だった。汗をかきかき電車に乗り、大宮から新幹線に乗って上毛高原に着く。まずは、標高746mの土合口駅からロープウェイに乗った。
料金表を見ると、「ペット800円」との表示に気づき、クスリと笑う。犬などは喜んで走り回ることだろう。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/20/bb/d22ba8118a1dfecf76ef1f5b021d5c1d.jpg)
しばらくすれば、標高1319mの天神平駅に着く。一気に573mも上がってきたわけだ。ロープウェイから外に出ると、空気がひんやりしていた。
「うっ、寒ッ!」
それもそのはず、霧が深くて景色が霞んでいる。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/11/57/2566dda8bd4f1eec092916837d910d73.jpg)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/6b/86/0393669d93154b78e44b2962911edb82.jpg)
「遠くが見えない」
展望の頂と書いてある案内板を目にして、どこがだよと毒づいた。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/30/5f/eb02bc7de3d06472009e9246287bbbe2.jpg)
そんなときでも幸枝は楽しんでいる。
「じゃあさ~、まず、あの鐘を鳴らしてみよう!」
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/50/ff/fc74cb3a42d7bfc2e87dc9b0a0cd74d7.jpg)
カランカラーンと乾いた音が響き、トレッキングが始まった。行く手は霞んでいるけれど……。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/16/d8/22feb553252899b6d7a7397038b71e02.jpg)
幸いなことに雨は降りそうにないが、山も見えない。
めげずに、上り坂を歩いていく。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/06/c7/427651793b1ea9c66e38ad700006fbcd.jpg)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/67/16/00a7718dc4bb645e2af1fd3c5fd1a5ff.jpg)
途中で、石の上に載っている犬の糞にギョッとした。踏んでしまったら大変じゃないかと顔をしかめる。街中でも山の上でも、糞の処理はしっかりしていただきたいものだ。
標高が高くなるにつれ、徐々に景色が変わってきた。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/72/40/12282cf45c2284a6550233c4786bece6.jpg)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/67/b6/7d387ac2ff02f8e2d0cb70bce49c0f47.jpg)
「おお~、何か山らしい景色が見えてきた!」
「霧が晴れてきたね」
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/58/20/7f86f8ead2905814cee7ece25fe77fad.jpg)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/29/7c/0703127f5eef8d517caf43a010ba3bf6.jpg)
まもなく天神峠。天神平駅からリフトに乗れば、山道を歩かずに来られるので、スカート姿の女性や軽装の男性も見えてくる。苦しい思いをしたくはないが、山の空気や景色を堪能したいという方にはいいだろう。
「着いたっ!」
標高1500mジャストの天神峠に到着だ。181m上がるのに約40分かかった。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/67/3a/c866e20bca6078d95b416e0047f06ebe.jpg)
しかし、霧しか見えない……。
1977mの谷川岳が見える絶景スポットも、ひたすら白い。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/73/28/76976c4275863130d66750a1c9f44a41.jpg)
「うーむ」
「むむむ」
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/77/78/ab95ce0028b6865a7b5963412b0c96fb.jpg)
展望台に上って、「そのうち霧が晴れるのでは」と期待し待ってみたが、一番よく見えたときでもこの程度。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/63/3a/84666d78738ab50b047d0c1d91ee6303.jpg)
私に登られたくなくて、谷川岳は姿を見せてくれないのかも。拒否されると「なんでよ~!」と余計に燃えてくる。
「今日は無理だね」
「うん。神社でお詣りして帰ろう」
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/44/09/2bd361bc48c82fe8e9363b9eb8ffcc1e.jpg)
諦めて下山を始める。帰りはゲレンデから下ってみた。こちらは割に明るい。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/00/1a/9c224c60c08db70e2a6f57db527a8a60.jpg)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/20/ee/920463edf72b18378525bee2970fd4fc.jpg)
谷川岳は一部しか見えなかったけれど、他の山が見えたから気分も上がる。山には人の気持ちを高揚させる何かがあるから、山岳信仰なるものが生まれたに違いない。毎日、仕事で小さいながらもトラブル多発でストレスを抱えているが、「そんなものは、どうでもいい」と割り切れるようになるのが不思議だ。
ロープウェイに乗る前にランチをいただく。シチューのパングラタンにした。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/4c/97/10fde82f666381708d901476b0a3819b.jpg)
ちなみに、おみやげは幅4cmのこのうどん。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/28/6d/4280a1883edd156ffbe1beca009eb420.jpg)
埼玉県鴻巣市の川幅うどんよりは細いが、家族には「おもしろい」と好評だった。まだ食べていないけど。
さあ、次こそ、谷川岳につながる道に行ってみよう。
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「いとをかし~笹木砂希~」(エッセイ)
「うつろひ~笹木砂希~」(日記)
谷川岳はアップダウンが多いようで、結構大変だったでしょう。お疲れ様でした。
標高1000mを超えると、ジメジメした暑さがなくなりますね。
雨が降ったら凍えます(笑)
その代わり、日差しと紫外線が強いので、容赦なく焼かれますが。
また行きたいです。
気持ちよかったのではないでしょうか。
高所恐怖症の私は、山は写真だけで満足。
降りられなくて泣いてるおばさん、迷惑なだけですからね。
山岳信仰にも無縁なのが、残念。
たくさんの写真、ありがとうございました。
夫と娘は山に興味ありません。
一緒に登るなんてとてもとても。
仕方なくて、友人か姉と出かけています。
見る分には問題ないんですけどね。
下りるのはいいんですが、上りがキツい~。
こちらこそ、コメントいただきありがとうございました。
装備は軽くて大丈夫です。
夏山なので、ダウンはいらないし。
雨具は持っていきました。
携行食も省略し、レストランで食べることに。
水は1.5リットル用意しましたが、余りました。
谷川岳を登ることになると、荷物が結構増えそうです。
筑波山にぜひ!