午前3時起床。
紅茶をいれ、朝食の用意をする。前夜は20時まで地域の会合があり、夕食を抜いたから空腹なのだ。
食べる前に軽くラジオ体操、ストレッチを行い、体をほぐす。少しでも体を動かせば、血行がよくなり、肩こりや腰痛が改善される。運動不足だからこそ、毎日続けないといけない。
朝食後は着替えて化粧をし、忘れ物がないよう確認して家を出た。時計は4時15分。予定通りだ。ひとまず、練馬駅に向かい、4時55分発のリムジンバスに乗らなくては。
この日は、午前6時30分羽田空港第1ターミナル集合というミッションがあった。
電車を使えばもう30分遅くまで寝ていられたが、リムジンバスの方が楽で速い。乗り込んでしまえば、あとは居眠りしようとメールを打とうと自由に過ごせるところが好きだ。
残念ながら、旅行するのは私ではない。勤務校の3年生が修学旅行に出発するため、発熱等により保安ゲートを通れない生徒がいたとき、保護者に引き渡すための見送り要員として、羽田に向かったのであった。
だけど、何だかうれしい。ワクワクする。
思えば、この時間のリムジンバスは、もっぱら家族旅行で何度か遠出したときに使っていた。体に刻まれた「早起きはお楽しみの始まり」という記憶が今でも生きている。コロナ禍で、もう2年以上出かけていないのだから、「どこかに行きたい」というくすぶった欲求を刺激してしまったのだろう。
車内で目を閉じていても、全然眠くならず、5時45分に羽田空港到着となった。
「さて、何をしよう」
集合の6時半まであと45分もある。飲食店は軒並み閉まっているが、出発ロビーには自動販売機が並んでいた。
「わーい」
深煎りのブラックコーヒーをホットで飲んだ。おそらく、時間を持て余すことを想定して、読みかけの本も用意してある。普段だったら、まだ家で身支度をしている時間なのに、誰にも邪魔されない場所で、コーヒーをいただきながら読書を楽しめることに幸せを感じた。
「おはよう~!」
「おはよう!」
大学生らしき若者グループが、大きなキャリーケースを引きながら挨拶を交わしている。彼らもどこかに出かける高揚感が、言葉や行動に表れていた。出発ロビーには弾んだ会話や明るい表情があふれ、そこにいるだけで幸福感のかけらが味わえた。
「さて、6時20分か。そろそろ行こう」
区切りのよいページで本を閉じ、紙コップを捨てて集合場所に向かった。本校生徒も教員も、出発ロビーの人たちと同様に、笑いながら会話をし、盛り上がっている。あらためて、旅行の力の大きさを感じた。
幸い、体調不良者もなく、生徒も教員も、全員保安ゲートを通れるようだった。ゲートの手前で校長先生が振り返り、声をかけてきた。
「では、あとをよろしくお願いします」
「はい。いってらっしゃいませ」
後姿を見送りながら、ミッションを無事終えたことに安堵する。
勤務時間にはまだ早い。ひと仕事終えたご褒美に、三本珈琲店でケーキを食べることにした。
フルーツサンドなどのモーニングも美味しそうだったが、すでに朝食を終えていたので、泣く泣くあきらめた。もっと念入りに調べていれば、がっつり食べてこなかったのに! もちろん、ケーキもふわふわでイケる味だったのだが。
このあと「空弁」も買い、電車を乗り継いで出勤する。私の疑似旅行は終了した。
「いただきまーす」
空弁を食べながら、次の旅行は北海道がいいかな、なんて計画したりして。
↑
クリックしてくださるとウレシイです♪
※ 他にもこんなブログやってます。よろしければご覧になってください!
「いとをかし~笹木砂希~」(エッセイ)
「うつろひ~笹木砂希~」(日記)
紅茶をいれ、朝食の用意をする。前夜は20時まで地域の会合があり、夕食を抜いたから空腹なのだ。
食べる前に軽くラジオ体操、ストレッチを行い、体をほぐす。少しでも体を動かせば、血行がよくなり、肩こりや腰痛が改善される。運動不足だからこそ、毎日続けないといけない。
朝食後は着替えて化粧をし、忘れ物がないよう確認して家を出た。時計は4時15分。予定通りだ。ひとまず、練馬駅に向かい、4時55分発のリムジンバスに乗らなくては。
この日は、午前6時30分羽田空港第1ターミナル集合というミッションがあった。
電車を使えばもう30分遅くまで寝ていられたが、リムジンバスの方が楽で速い。乗り込んでしまえば、あとは居眠りしようとメールを打とうと自由に過ごせるところが好きだ。
残念ながら、旅行するのは私ではない。勤務校の3年生が修学旅行に出発するため、発熱等により保安ゲートを通れない生徒がいたとき、保護者に引き渡すための見送り要員として、羽田に向かったのであった。
だけど、何だかうれしい。ワクワクする。
思えば、この時間のリムジンバスは、もっぱら家族旅行で何度か遠出したときに使っていた。体に刻まれた「早起きはお楽しみの始まり」という記憶が今でも生きている。コロナ禍で、もう2年以上出かけていないのだから、「どこかに行きたい」というくすぶった欲求を刺激してしまったのだろう。
車内で目を閉じていても、全然眠くならず、5時45分に羽田空港到着となった。
「さて、何をしよう」
集合の6時半まであと45分もある。飲食店は軒並み閉まっているが、出発ロビーには自動販売機が並んでいた。
「わーい」
深煎りのブラックコーヒーをホットで飲んだ。おそらく、時間を持て余すことを想定して、読みかけの本も用意してある。普段だったら、まだ家で身支度をしている時間なのに、誰にも邪魔されない場所で、コーヒーをいただきながら読書を楽しめることに幸せを感じた。
「おはよう~!」
「おはよう!」
大学生らしき若者グループが、大きなキャリーケースを引きながら挨拶を交わしている。彼らもどこかに出かける高揚感が、言葉や行動に表れていた。出発ロビーには弾んだ会話や明るい表情があふれ、そこにいるだけで幸福感のかけらが味わえた。
「さて、6時20分か。そろそろ行こう」
区切りのよいページで本を閉じ、紙コップを捨てて集合場所に向かった。本校生徒も教員も、出発ロビーの人たちと同様に、笑いながら会話をし、盛り上がっている。あらためて、旅行の力の大きさを感じた。
幸い、体調不良者もなく、生徒も教員も、全員保安ゲートを通れるようだった。ゲートの手前で校長先生が振り返り、声をかけてきた。
「では、あとをよろしくお願いします」
「はい。いってらっしゃいませ」
後姿を見送りながら、ミッションを無事終えたことに安堵する。
勤務時間にはまだ早い。ひと仕事終えたご褒美に、三本珈琲店でケーキを食べることにした。
フルーツサンドなどのモーニングも美味しそうだったが、すでに朝食を終えていたので、泣く泣くあきらめた。もっと念入りに調べていれば、がっつり食べてこなかったのに! もちろん、ケーキもふわふわでイケる味だったのだが。
このあと「空弁」も買い、電車を乗り継いで出勤する。私の疑似旅行は終了した。
「いただきまーす」
空弁を食べながら、次の旅行は北海道がいいかな、なんて計画したりして。
↑
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「いとをかし~笹木砂希~」(エッセイ)
「うつろひ~笹木砂希~」(日記)
久々に砂希先生らしい文章だと嬉しく、また感激しました。空港に向かうバスの中、空港での高揚感がひしひしと伝わりました
先生自身も早くお出掛けに行けると良いですね~
ですね!(笑)昼間の羽田は飲食店がたすうありたのしめますが早朝はかぎられますよね。ベランダ(名前がわからない?)で飛行機の発着を見る事が楽しく半日居た事もあったなぁ。生徒達が無事に楽しい
旅行が終わる事をお祈りしていますよ。
生徒さん達もようやく修学旅行が出来て安心しました。
ありがとうございます。
昔に比べると、作品にかける時間が非常に短くなりました。
じっくり吟味することなく、あわてて書く感じです。
もっと「自分らしさ」が表現できればと思っているのに、お言葉を励みにしたいと思います。
もっとも、書かないことが一番よくないので、適当な話でもアップしちゃいますけどね。
奇跡的に、ひとりの陽性者もなく終わりました。
とても楽しかったと、生徒は喜んでいます。
私たちの時代は当たり前だった修学旅行。
普通の高校生活が送れない世代は、気の毒としか言えませんね。
ちなみに、阿蘇、長崎というコースだったみたいです。
はい、プチ旅行になりました(笑)
日常から離れた場所に出かけて、いつもと違ったことをするのは大事です。
気分転換できて何よりでした。
でも非日常感は十分だし、周囲の高揚感がうつるようで、
楽しいプチ旅行になってよかったです。
そしてティータイムや空弁まで楽しめて、充実ですね。
そうですね、マンネリじゃない感覚が大事です。
早起きはツラかったけれど、特別なのだと思って楽しめました。
ロールケーキには感動です。
スタバみたいな店だと思っていたのに、結構サービスいいとわかりました。
さて、いつになったら、本当の旅行に行かれるのかしら……。