『ダークナイト・ライジング』についての最終考察、その三からお読みください。
ずいぶんと長い記事になってしまいましたが、今回で最後ですのでもう少しお付き合い下さい。
およそ言いたいことは言い尽くしたつもりですが、あと一つ、あるアイテムについて検証したいと思います。
それは何かというと『クリーン・スレート』です。
クリーン・スレートとはセリーヌ・カイルが必死になって探していた、過去の犯罪歴を抹消する特殊プログラムです。
ここで一つの疑問が生じます。
結局彼女は自らの犯罪歴を抹消して何をしたかったのか?
その疑問に明確な答えを出せる人はいないでしょう。
なぜなら作中そのことについて説明が一切なかったから。
これはずいぶんおかしな話だと思います。
百万ドルを必死になって稼ごうとする男が主人公の物語があって、男は最後の最後に見事百万ドルを稼ぐことに成功する。
けれど物語の中でなぜ百万ドルが必要だったのか、一切説明されなければ、その物語はプロットが破綻しているといってよいでしょう。
だいたい彼女は自らの犯罪歴を気にするようなキャラクターにはまったく見えません。
あるブログで、彼女は娼婦だった過去を抹消したかったのだ(だからクリーン・スレートが必要だった)という説明がされてましたが、それは納得出来るものではありません。
データ上の犯罪歴をいくら抹消することが出来ても、彼女の過去を知る人間はいくらでもいるでしょうから、犯罪歴だけを抹消しても無意味です。
結局クリーン・スレートとは何だったのか?
答えは簡単です。
ノーランが用意した赤いニシン、セリーヌがブルースと密会していたと観る者に錯覚させるためのマクガフィン(置換可能な作劇上重要でないもの)、それ以上でもそれ以下でもないと思います。
そうでなければ本筋と絡んで然るべきでしょう。
クリーン・スレートや自動操縦装置といった、一見するとブルース・ウェインが生存していたことを証明する、しかし、よくよく検証するとそうはならないアイテムの存在が、ノーランはミスリードをしたかったのだなと自分に思わせるのです。
最後に、どうして自分が映画『ダークナイト・ライジング』の結末の解釈にこだわるのか、説明させてください。
映画を観て、その映画を面白いと思うのか、つまらないと思うのかは観た人の自由だと思います。
人はそれぞれ違う人生を送ってきているのですから感性が違うのは当然であり、感性が違えば評価ポイントが違うのもまた当然です。
自分は『ショーシャンクの空に』という映画がマイ・フェイバリットムービーですが、「『ショーシャンクの空に』はまったくもってつまらない!」という人がいても別に腹が立つということはありません。
そういうこともあるよな、ぐらいにしか思いません。
しかし間違った解釈をした上で低い評価を下す人がいると、それはないだろう、と思うのです。
映画秘宝という映画雑誌で、2012年度に公開された映画の中で『ダークナイト・ライジング』がワースト1に選ばれました。
それ自体はまぁいいんですよ。特にどうとも思いません。
けれど、『ダークナイト・ライジング』をワーストに選んだ人の中で、明らかに結末の解釈を間違えてる人がいるのです。
これはちょっといただけない。
『ダークナイト・ライジング』は疵(ストーリー上の矛盾)の多い作品です。
けれど自分はそれらの疵はそんなには気になりません。
疵のない完璧な映画という方が珍しいぐらいですからね(『ショーシャンクの空に』ですら疵はあります)。
そして自分は『ダークナイト・ライジング』の結末が結構気に入っています。
ブルース・ウェインは自らの命を犠牲にしてゴッサムシティの人々を救い、ロビンはブルースの遺志を引き継ぎ新たなバットマンとなり、アルフレッドは遠い異国の地で亡きブルースの幻と再会する。
主人公のブルースこそ亡くなりましたが、希望と勇気の持てる、優しさに充ちた幕引きではないですか。
この結末の解釈が間違っているというのならば、自分の『ダークナイト・ライジング』への評価はガラッと変わります。
それこそワーストに選ぶかもしれませんね。
さて、本記事への反論コメントは大・大・大歓迎です。
それこそ自分の望むところだと言っていいぐらいです。
けれどせっかくですから、コメントをする際、ついでに次の三つの質問に答えていただけたら幸いです(どれか一つでも構いません)。
①今後十年間に『バットマン』の新シリーズが始動する確率はどれぐらいあると思うか?
②バットマンはバットからどのようにして脱出したと思うのか?
③また議論をすること自体はどう思うか?議論をすることによって作品への理解が深まることはあるのか?
よろしくお願いします。
ずいぶんと長い記事になってしまいましたが、今回で最後ですのでもう少しお付き合い下さい。
およそ言いたいことは言い尽くしたつもりですが、あと一つ、あるアイテムについて検証したいと思います。
それは何かというと『クリーン・スレート』です。
クリーン・スレートとはセリーヌ・カイルが必死になって探していた、過去の犯罪歴を抹消する特殊プログラムです。
ここで一つの疑問が生じます。
結局彼女は自らの犯罪歴を抹消して何をしたかったのか?
その疑問に明確な答えを出せる人はいないでしょう。
なぜなら作中そのことについて説明が一切なかったから。
これはずいぶんおかしな話だと思います。
百万ドルを必死になって稼ごうとする男が主人公の物語があって、男は最後の最後に見事百万ドルを稼ぐことに成功する。
けれど物語の中でなぜ百万ドルが必要だったのか、一切説明されなければ、その物語はプロットが破綻しているといってよいでしょう。
だいたい彼女は自らの犯罪歴を気にするようなキャラクターにはまったく見えません。
あるブログで、彼女は娼婦だった過去を抹消したかったのだ(だからクリーン・スレートが必要だった)という説明がされてましたが、それは納得出来るものではありません。
データ上の犯罪歴をいくら抹消することが出来ても、彼女の過去を知る人間はいくらでもいるでしょうから、犯罪歴だけを抹消しても無意味です。
結局クリーン・スレートとは何だったのか?
答えは簡単です。
ノーランが用意した赤いニシン、セリーヌがブルースと密会していたと観る者に錯覚させるためのマクガフィン(置換可能な作劇上重要でないもの)、それ以上でもそれ以下でもないと思います。
そうでなければ本筋と絡んで然るべきでしょう。
クリーン・スレートや自動操縦装置といった、一見するとブルース・ウェインが生存していたことを証明する、しかし、よくよく検証するとそうはならないアイテムの存在が、ノーランはミスリードをしたかったのだなと自分に思わせるのです。
最後に、どうして自分が映画『ダークナイト・ライジング』の結末の解釈にこだわるのか、説明させてください。
映画を観て、その映画を面白いと思うのか、つまらないと思うのかは観た人の自由だと思います。
人はそれぞれ違う人生を送ってきているのですから感性が違うのは当然であり、感性が違えば評価ポイントが違うのもまた当然です。
自分は『ショーシャンクの空に』という映画がマイ・フェイバリットムービーですが、「『ショーシャンクの空に』はまったくもってつまらない!」という人がいても別に腹が立つということはありません。
そういうこともあるよな、ぐらいにしか思いません。
しかし間違った解釈をした上で低い評価を下す人がいると、それはないだろう、と思うのです。
映画秘宝という映画雑誌で、2012年度に公開された映画の中で『ダークナイト・ライジング』がワースト1に選ばれました。
それ自体はまぁいいんですよ。特にどうとも思いません。
けれど、『ダークナイト・ライジング』をワーストに選んだ人の中で、明らかに結末の解釈を間違えてる人がいるのです。
これはちょっといただけない。
『ダークナイト・ライジング』は疵(ストーリー上の矛盾)の多い作品です。
けれど自分はそれらの疵はそんなには気になりません。
疵のない完璧な映画という方が珍しいぐらいですからね(『ショーシャンクの空に』ですら疵はあります)。
そして自分は『ダークナイト・ライジング』の結末が結構気に入っています。
ブルース・ウェインは自らの命を犠牲にしてゴッサムシティの人々を救い、ロビンはブルースの遺志を引き継ぎ新たなバットマンとなり、アルフレッドは遠い異国の地で亡きブルースの幻と再会する。
主人公のブルースこそ亡くなりましたが、希望と勇気の持てる、優しさに充ちた幕引きではないですか。
この結末の解釈が間違っているというのならば、自分の『ダークナイト・ライジング』への評価はガラッと変わります。
それこそワーストに選ぶかもしれませんね。
さて、本記事への反論コメントは大・大・大歓迎です。
それこそ自分の望むところだと言っていいぐらいです。
けれどせっかくですから、コメントをする際、ついでに次の三つの質問に答えていただけたら幸いです(どれか一つでも構いません)。
①今後十年間に『バットマン』の新シリーズが始動する確率はどれぐらいあると思うか?
②バットマンはバットからどのようにして脱出したと思うのか?
③また議論をすること自体はどう思うか?議論をすることによって作品への理解が深まることはあるのか?
よろしくお願いします。