この世界の憂鬱と気紛れ

タイトルに深い意味はありません。スガシカオの歌に似たようなフレーズがあったかな。日々の雑事と趣味と偏見のブログです。

バード、第一話「少年バード」

2012-09-30 15:21:03 | バード
 一年目 前夜 第一話「少年バード」


 少年は「バード」と呼ばれていた。
 無論それは彼の本名ではなかったのだけれど、誰もが彼のことをそう呼ぶものだから、いつの間にか彼自身もそう名乗るようになっていた。
 今彼はビルの屋上から大晦日の夜の街を見下ろしていた。
 『大崩壊』の日を境に、人々はかつての栄光を失ってしまった。
 それでも夜の街には深海魚が海の底を蠢くかのように人々が暮らしているのが見て取れた。
 バードはそれを見るのが好きだった。
「バード、明日のことを考えてるのかい?」
 そう後ろから問いかけたのはロボだった。
 ロボは義理の父親からの虐待によって足があり得ぬ方向に曲がっていて、そのせいでロボットのようにしか歩けなかった。けれど彼は仲間の中で一番すばしこかった。
 明日のことというのはバードたち「白の翼団」と敵対する「血塗道化団」の対決のことを指すのはバードにもわかった。
 だがバードが考えていたのは別のことだった。
 バードの無言を肯定と捉えたロボは黙って彼の横に立った。
「俺たち、勝てるよね、あいつらに」
 白の翼団と血塗道化団とは不倶戴天の敵同士だ。血塗道化団の幹部は自分たちのグループに所属しない少年たちに、それはつまり主に白の翼団のメンバーのことだが、「粛清」と称して無用の暴力を加えてきた。
 だがそれも限界に近づいてきた。
 ロボの問いに今度はバードも、あぁと小さく頷いた。
「ほんと?ほんとにそう思う?」
 念を押すように問い直したロボに、バードは「あぁ、勝てるさ」と短く、だが力強く答えた。
「よし、やった。バードがそう言うなら間違いないよね」
 そう無邪気に喜んだロボはギクシャクとした動きで飛び跳ねた。
 そんなロボを見て、バードは優しく目を細めた。
 彼は明日の対決のことは心配していなかった。
 白の翼団のメンバーは体の小さい者ばかりだが、ロボを始めとして皆すばしっこい。
 彼らがバードの指示に従って、血塗道化団のメンバーを挑発し、逃げ、挑発し、逃げ、それを繰り返してやつらの体力が尽きたところで一斉に反撃に打って出れば、必ず倒せるはずだった。
 その夜、バードの心を占めていたのは黒い夢のことだった。
「ちょっと出かけてくるよ」
 そうロボに言い捨てて、バードは階下へと続くドアへと向かった。


                             第二話「黒い夢」へ続く
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明日は映画の三連ハシゴの予定♪

2012-09-28 23:51:59 | 新作映画
 明日は久しぶりに、、、といっても二週間ぶりという意味ですが、映画を観に行く予定です。
 それも出来れば映画のハシゴ、出来れば三連ハシゴをしたいなと思っています。
 鑑賞予定なのは、『ボーン・レガシー』、『ハンガー・ゲーム』、『アイアン・スカイ』の三本!!

 『ボーン・レガシー』はジェイソン・ボーン三部作が至高のアクション映画である自分にとっては必見の映画で、本家とどのようなストーリー上の関わりがあるのか、そして何より本家と同程度の興奮を得られるアクションなのか、今から観るのが非常に楽しみな一本です。

 『ハンガー・ゲーム』は、全米で大ヒットしてる割に、前評判があまり良くないようですね。
 高見広春の『バトル・ロワイアル』とどの程度似てるのかも気になるところです。

 『アイアン・スカイ』は映画秘宝愛読者にはやはり必見でしょう。
 ナチが月からやってくる!!何とも燃えるキャッチコピーです。

 でも問題は明日朝早く起きれるかどうかですね。
 というわけでさっさと寝ることにします。。。
 
 
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『ビブリア古書堂の事件帖』、ヒロインが魅力的すぎて生きてるのがツラい。

2012-09-27 22:38:40 | 読書
 文庫書き下ろしという出版形態には無条件で敬意を払いたくなります。
 若者の活字離れが叫ばれ、郊外の本屋が次々と閉店する昨今、出版社は何を考えて二千円近くするハードカバーを出版しているのだろうと疑問に思うことがままあるからです。

 その一方で文庫書き下ろしで出版された小説で満足したことはあまりないです。
 米澤穂信の小市民シリーズは、面白いことは面白かったけれど、一回読めば十分て感じでしたし、宮部みゆきの『R.P.G』は、こりゃ確かにハードカバーで出版するだけのレベルじゃないなと思いました。
 個人的に特に評価が低いのが有川浩の『シアター!』で、話はそこそこ面白いと思うんだけど、文章が本当にテキトーに書いたって感じられて(プロの作家には『檄を飛ばす』を「励ます」の意味に用いるのは止めて欲しい。将来それが誤用でなくなるとしても。)、ハードカバーだったらこんなふうには書かなかったのでは、と思えました。

 『ビブリア古書堂の事件帖』を手に取ったのには深い理由はないです。
 シンガポールに旅行に行くのに何か一冊文庫本を買っておくかな、ぐらいの気持ちでした。
 しかしこれが個人的には大当たりでしたね。
 旅行から帰ってきて、その足で本屋に続刊を買い求めに行きましたよ。

 主人公の五浦大輔は過去のトラウマから本を読めない体質の持ち主。
 そんな彼がふとした切っ掛けで古書店のうら若い女店主、篠川栞子と知り合い、本を巡る様々な謎と秘密に触れることになる…。

 えっとですね、まず言いたいのがヒロインの篠川栞子が魅力的すぎるってことでしょうか。
 彼女の特徴を挙げていくと、、、
1.ハッとするような美人である。
2.極度の人見知り。
3.人並み外れた読書家。また書物に関する知識がハンパじゃない。
4.卓越した推理力を持つ。
5.にもかかわらず他人の気持ちには鈍感。大輔の想いにも気づいている様子がない。
6.巨乳。
 ハッキリ言わせてもらいますが、いないですよね、ハッとするような美人で読書家、しかも巨乳の女性なんて(←やたら敵を増やす発言をしない)。
 いたら是非「私は美人で巨乳ですが、読書が好きですよ!」とコメントしてください。出来ればお友だちになってもらえたら嬉しいですけど(それが目的か!)。
 
 冗談はそれぐらいにして、ともかく言いたいのはヒロインは本好きな男子の理想の女性像ってことです。つまり、本書は現代を舞台にしてはいてもある種のファンタジーってことで、ネットで本書がラノベか否かで議論されているようですが、自分はラノベである方に一票投じたいと思います。

 アマゾンのレビューでは、ラノベである、だからダメだ、みたいな意見が多かったようなのですが、自分はラノベだなとは思いましたが、だからダメだなとは思いませんでした。
 ハードカバーの純文学がフランス料理のフルコースだとしたら、ラノベはサクサク食べれるトーストですよね。
 朝からフランス料理のフルコースなんて食べられませんしね。
 
 本書はラノベだと思いましたが、最近読んだ小説の中で同じようにラノベだな、と思った作品があって、それは何かというと百田尚樹の『影法師』だったりします。
 あの作品のどこがラノベなんだ!!とお怒りになる人がいるかもしれませんが、登場人物の一人があり得ないぐらい魅力的という点においては本書と共通すると思うのです。
 しかし、『影法師』は絶賛の嵐で、本書は結構酷評する人がいたりして、、、自分には不思議です。展開に矛盾があるのはどっちも同じようなものだと思うのだけれど。

 そんな感じで、自分はすごく気に入りました。
 が、前述の通り低い評価を下している人も多いようです。
 まぁそれはいいんですよ。
 同じ本を読んで感想や評価が違うのはごくごく当たり前のことだと思っているので。
 ただ、アマゾンのレビューで、本書を嫌いな理由として、主人公の身内に犯罪者がいることを挙げてる人がいました。
 過去に犯罪を犯して、そのことを一切反省していない、だから主人公が嫌いとかいうならともかく、ただ単に、身内に犯罪者がいるような主人公は嫌いというのは如何なものですかね。
 世の中にはいろんな人がいるものだな、ということをレビューを読んで思いました。
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週末借りたDVDと買ったDVD。

2012-09-25 22:50:51 | 旧作映画
 先日見た『タッカーとデイル』がすこぶる面白かったので、先週末も続けてツ○ヤで四本ほどDVDを借りました。
 が、先週末借りた四本は四本ともハズレ。
 まぁテキトーに借りたDVDなんで、ハズレでも別段腹は立たないのだけれど、う~~ん、ちょっとなぁと思うのは、ツ○ヤでは日本語吹き替えが入ってないDVDにその表記が入ってないこと!ゲ○だとちゃんと表記されてるんだけどね(日本語コメンタリーしか入ってない『屋敷女』にはその表記がなかったけど)。
 ツ○ヤのみレンタルのDVDの多くはどうも経費削減の為か日本語吹き替えが入ってないのだけれど、だからといって全部のDVDがそうかというとそういうわけでもないので、一目でわかるようにして欲しいよ。
 基本的に自分はDVDは吹替え入りの奴しか借りないから(BGMの代わりに見る)。

 借りたDVDはハズレでしたが、買ったDVDは大当たりでした。
 ツ○ヤの中古DVDコーナーに置いてあったのは、、、


   


 何と『ジャイアント・ロボ 地球が静止する日』のDVD全三巻。一巻が驚きのプライス、わずか¥300!!三巻合わせても千円しないという…。
 おぃ、ツ○ヤ鳥栖店のスタッフ!!
 いくらレンタル落ちとはいえ、『ジャイアント・ロボ』のDVDが全巻合わせて千円しないなんて、物の価値を知らな過ぎるだろう!!
 驚きのあまり同じ内容のDVDを持ってるのに(確か¥12000ぐらいで買ったかな。ネットの通販で購入した一番高額な商品だよ。)つい買っちゃったじゃないか!!
 未鑑賞の人の購入権利を奪ったのだとしたらゴメンなさい。

 他に、ブック○フでも中古DVDを買いました。
 買ったのは『スカイキャプテン ワールド・オブ・トゥモロー』と『ブレードランナー最終版』の二枚。価格は一枚が¥250。笑。
 まぁどちらもツ○ヤで同じものの新品が¥1000で買えるわけだけれど、つまり、¥1000では買う気がしなかったのだけれど、¥250なら買うよなぁ。
 『スカイ~』は世間的にはあまり評判がよろしくないみたいだけれど、自分好みの作品でした。
 『ブレード~』は言わずと知れたSF映画の古典なのだけど、今見てもヴィジュアルが十分前衛的。見ていて心が奪われる。『プロメテウス』を見たときはそうはならなかった。

 ブック○フには本当は『フレイルティー 妄執』というホラー映画のDVDを買いに行ったんだけれど(以前は持っていたんだけど、人に譲ってしまって、また欲しくなった)、それはなかった。
 ちょくちょく中古ショップで見た覚えがあるのだけれど、探してると見つからないものだね。 まぁそのうち手に入れられるでしょう…。
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アニカラ、踊る阿呆に見る阿呆、賢いのは…。

2012-09-23 16:47:53 | 日常
 不思議博物館の不思議子ちゃん(不思議博物館に生息する妖精。誰もを魅了する能力を持つ。)から、「せぷさんと一緒で、私の部屋にもフィギュアがたくさんあるんですよ~」と言われたことがあります。
 え?と思っちゃいましたね。
 どうやら、ゲーセンのUFOキャッチャーでゲットしたフィギュアを何度か持ち込んで寄贈してるので、自分の部屋にはフィギュアがあると思われたみたいです。
 えっと、自分はフィギュアやドールの類いは一体も持ってないですよ。ない、ということを証明することは出来ませんが。
 同じく、アニメやアイドルのポスターも貼ってありません。
 唯一貼ってあるポスターは、ウィレム・デフォー主演の『ハンター』という映画のポスターだけです。


   


 これも別にデフォー萌え~♪とか、ヒゲ面親父に胸キュン♪とかそういうわけじゃなくて(書いてて気持ち悪いよ!)、カレンダーになるかと思って貼ってるだけです(実際には数字が小さくてカレンダーの役目は果たしてないけど)。

 どうも見た目から勘違いされるみたいなんですが、自分はオタクじゃないんですよ。
 見た目はオタクでも中身はそうじゃない、と主張するのは悲しいものがありますが、ほんとにそう。
 別段「オタク」と呼ばれたくないってわけではないのです。
 思うにオタクって自らの裡に何かしら熱情がある人じゃないとなれないんじゃないかなぁ。
 自分にはそこまでのめり込める対象が二次元であれ、三次元であれ、ないんですよね。
 
 オタクでないという証拠になるかどうかわかりませんが、平成ライダーもプリキュアも一度も見たことがありません。

 最近のアニメでは『ソード・アート・オンライン』は見てますけど、気になるのは、話の続きよりもむしろ、ゲーム世界に囚われた主人公たちの現実世界の食事や排泄の世話は誰がしてるんだろう、ってことですしね。果たして最終回まで見たらその謎は明かされるんでしょうか。ゲーム世界での数年間は現実世界の一日だった、ってオチですかね?

 あと、コミケやコスプレパーティなんかにも行ったことがありません。
 特定の好きなキャラもいないのに、そういったイベントに参加するのって何か違うような気がするので。
 しかし、まったく興味がないってわけではないのです。もしかしたらすごくハマるかもしれないし。
 というわけで、前振りが長くなりましたが、アニカラなるイベントに行ってきました。
 アニカラ、ご存知でしょうか。
 遠くに赴任していた兄から手紙が届いた、の「兄から」ではないですよ。
 アニメカラオケイベントの略です。
 
 場所は天神のとある小イベントホール、開演は三時、結構参加者はいましたね。四十人ぐらいいたかなぁ。
 まぁ参加者の半分ぐらいはスタッフと出演者だったんですけど。笑。
 ぶっちゃけパフォーマンスのレベルはそこまで高くなかったですが(偉そう。笑。)、ただ、熱量はハンパじゃなかったです。
 その作品への想いがストレートに伝わってくるというか。
 圧倒されました。

 すごく楽しかった、と書ければよかったんですが、、、残念ながらそうは書けません。
 パフォーマンスの問題ではなく、まったくノレなかった。
 元々自分は、踊る阿呆に見る阿呆、同じ阿呆なら踊らない方が楽でいい、と考えるような人間なのですが、この日もその主義が炸裂しちゃいました。
 踊った方が賢いということが頭では分かっていても、体が拒否してしまうんですよね。
 ほんと、人生を楽しめない奴だよ。


 最後に写真を何枚か貼っておきます。


   


   
 

 こんなふうに楽しめればよかったんだけどなぁ…。
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百田尚樹著『影法師』、一言で言うとお薦めの時代小説。

2012-09-21 21:43:15 | 読書
 百田尚樹の『影法師』を読み終わりました。
 読む機会を与えてくれた友人に感謝。

 身分を越えて友情をはぐくんだ二人の武士の、栄達と没落の物語。

 もし今誰かから、お薦めの時代小説は何かないかと聞かれたら、自分は迷うことなく本書を薦めます。そしてまた、感動する小説を教えてくれといわれても、やっぱり本書を推します。
 
 だから、そういった小説を求めているって人は、この先の文章を読まずに、明日の朝、一番に本屋へと駆け込み、レジで「百田尚樹の『影法師』はありますか!?」って尋ねてください。もちろん、今夜これから二十四時間営業の本屋に行かれても結構ですが。


 さて、ここからが本題です。
 本書は自信を持ってお薦め出来る一冊ではあるのですが、個人的にはそこまで感動は出来ませんでした。
 こういった乖離はままあります。
 世間的に爆発的に売れている漫画をあまり面白いとは思えなかったり、逆に世間的にはあまり評判がいいとは言えない映画がツボだったり。
 まぁおそらく他人様と経絡秘孔の位置がズレているのでしょう。あべし。

 なので、自分が本書を読んで気になった箇所もほとんどの人は気にならないんじゃないかと思います。先に言っておきますが、うわ~、そんな細かいところが気になんのかよ、といって石を投げないよーに!!傷つきやすい年頃なんだから♪(おぃ)

 自分が最初に気になったところ、、、というか終盤になって真相が明かされ、え、それはないんじゃないかと思ったところは、勘一と彦四郎が上意討ちを果たす場面です。
 上意討ちの相手二人を勘一一人が成敗したように見えて、実は彦四郎が勘一に手柄を譲ったことが物語の終盤、大老となった勘一の元を訪れた島貫という老人の口から明かされます(正確には島貫の推論であるが、この場合は事実と考えてよいでしょう)。
 これは、、、ちょっとありえないかな、と思いました。
 まず常識的に考えて、上意討ちを成功させれば、その恩賞はかなりのものに違いないので、あえて手柄を譲らずとも、二人で手柄を分け合えばよい。
 さらに言えば、相手は二人とも手練れであり、上手い具合に勘一が先に一人倒したからいいようなものの、逆に勘一がやられる可能性も充分にあった。
 彦四郎が勘一一人に意図的に手柄を独占させようとしたのであれば、それは非常にリスクの高い行為であったと言えると思います。

 さらに、島貫老人は、かつて自分が勘一を襲おうとした刺客で、それを阻止したのは彦四郎であり、その際左足を切られたことも明かします。
 しかし、、、これもない。
 そもそも、彦四郎は自分の行いが勘一に知られてもよいと考えていたのでしょうか?
 本書を読んだ人であれば誰でも口を揃えて、それはない、と答えるでしょう。
 自分もそう思います。
 誇り高い勘一が、自分の出世は友人の犠牲の元で成り立っているのだと知ったら、喜ばないどころか、それこそ腹を切りかねない。
 そして彦四郎はそんな友人の気質を十二分に熟知していた。
 であれば、このとき彦四郎が島貫にとどめを刺さなかったのはおかしいんですよ。
 島貫が生きていれば、自分の行いが勘一の知るところになる可能性が大なのですから。
 結果的に襲撃は未然に防がれ、勘一はそれを知ることはありません。
 しかしそれはあまりに偶然に頼りすぎている。
 彦四郎が切り捨てた二人の刺客の死体は、島貫が処理するのですが、彼が死体を処理しなければならない必然的な理由はありません(深手を負っていたのであればなおさら)。
 このときの島貫の行動は、彦四郎のためにしているように思えて、釈然としません。

 以上が、自分が本書を読んでいて気になったところ、釈然としなかったところなのですが、、、アマゾンのレビューをざっと読んでも、ネットで読書ブログを見回っても、そんなところが気になった、って人は皆無でした。
 つくづく自分の感性、及び嗜好は一般のそれと乖離してるなぁと思わされました。

 ところで作者の百田尚樹は今が旬の作家のようで、著作が次々と映画化されています。
 本書も間違いなく映画化されるでしょう。長さ的にも内容的にも映画にするには相応しいですから。
 なので、本書を読みながら、誰が磯貝彦四郎を演じるか、イメージするのも一興だと思います。
 う~~~ん、、、ジャニーズの亀梨?
 イメージが貧弱すぎてすみません。。。
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最近見たDVDについて。

2012-09-19 22:17:51 | 旧作映画
 最近見たDVDについて、備忘録代わりにちょっとだけ。
 いや、ほんと最近は一週間も経つと何を見たか覚えてなくて、、、まぁそれは最近に限ったことじゃないかもしれないけど!


『セレニティー』
 今年の夏映画は結局何が興行収入No.1だったのでしょうね。
 やっぱり『アベンジャーズ』かな?それとも『るろうに剣心』?もしくは大外からイッキのまくりで『踊る大捜査線ファイナル』?と思わせて実は『トータル・リコール』?(それはない)
 などと聞いておいて興行収入にはあんまり興味がなかったりするのですけど(じゃ聞くなよ)。
 たぶん『アベンジャーズ』だとは思うんですけど、自分の評価はそれほど高くなかったりします。ヒーローものとしてそこそこ楽しめたかな、ぐらいで。
 でも絶賛する人がいてもそれは別に構わないって思ってます。
 同じ人生を送ってきたわけではないのだから、同じ映画を観て、違う感想、違う評価になるのは不思議じゃない。
 不思議なのは、『アベンジャーズ』は傑作だ!!と絶賛している人が、『アベンジャーズ』の監督のジョス・ウェドンの前作『セレニティー』をあまり積極的に見ようとはしないことですかね(少なくともネットではあまり見かけない)。
 傑作をものにした映画監督の前作も傑作に違いない!!とは思わないんでしょうか?
 自分は『アベンジャーズ』を傑作だとは思わなかったのですが、それでも気にはなったので『セレニティー』、見てみましたよ。
 で、感想はというと、、、う~~~ん、ただのB級SF映画にしか思えん…。
 この映画を見て、よし、『アベンジャーズ』の監督は彼しかいない!!と決断したディズニー・スタジオの重役は慧眼すぎる。
 自分に見る目がないだけかもしれんけど。笑。


『モンスターズ/地球外生命体』
 リドリー・スコットの『プロメテウス』のヴィジュアルにはピクリとも心を動かされなかった自分ですが、この映画のラストの、モンスターとの邂逅シーンには目を奪われましたよ。幻想的で息を飲むような美しさでした(ま、ぶっちゃけクラゲの交尾ですが)。
 監督のギャレス・エドワーズがハリウッド版『ゴジラ』の監督に抜擢されるのがわかる気がする。この監督に大作映画を撮らせたら、どんな映画になるのか、興味があるもんな。

 ところで話は横道にズレますが、『プロメテウス』を絶賛している人が酷評している人のことを「ろくに映画の見方がわかっちゃいない」とダメ出ししているのを見かけました。
 な~んで、他人の評価がそんなに気になるんですかねぇ。
 仮に世の中に『プロメテウス』を酷評する人しかいなくても、俺は『プロメテウス』が大好きなんだ!!というスタンスを取ればいいだけの話だと思いますが。
 以前にも書きましたが、映画っていうのはどんな見方をするのも自由なんですよ。
 ヴィジュアルを重視するのもよし、脚本を重視するのもよし、いっそのこと可愛い女の子が出ていればそれだけでオッケーだ!という見方だって間違っちゃいない。
 だって、それまで生きてきた人生が違うのだから、映画において何を重視するか、違うのは当然じゃないですか。
 それを上から目線で映画の見方がわかっていないなんてダメ出しするのは間違ってる。
 とはいえ、自分の好きな映画が、世間での評価や知名度があまりに低くて未だにDVD化されずにいるのは、世の中間違ってる!!と思わずにはいられませんけどね。笑。


『海を飛ぶ夢』
 ブロ☆はじ。《β版》のブリさんから教えてもらいました(基本的に自分は他人から薦められた映画は出来るだけ見るようにしています。ま、薦めてくれる人があんまりいないから出来ることなんだけど。)。
 四肢麻痺の障害者が尊厳死を選択するというお話なので、好きになりようがない映画なのだけれど、それでも『最強のふたり』よりかは見る価値があると思うし、いろいろ考えさせられたかなぁ。


『ホステル』
 稲垣ゴローちゃんが「こんな映画はまともな人間が観る映画じゃない!」というような主旨の発言をして、どんな恐ろしい映画なんだろうと長年ビビッて見れなかったんだけど、実際見てみたらゴローちゃん主演の『十三人の刺客』と残虐描写はどっこいどっこいでした。ま、人間ってそんなものだよね。


『ピラニア』
 「奴らはどうやって二百万年もの間生き延びていたんだ?」
 「奴らは二百万年、共食いし続けたんだ!!」
 共食いだけでそんなに生き延びられるわけあるかぁああああ!!
 モンスターパニック映画としては凡作、オッパイ好きな人にとっては傑作。笑。


『レア・エクスポーツ 囚われのサンタクロース』
 何となくタイトルからスポーツものだと思ったら、サンタクロースが子供をさらいに来るというお話の映画でした。
 クライマックスで、真っ裸のサンタがわらわらと集団で現れる光景は超シュール!!
 でも、そのサンタをとっ捕まえて売り物にしようとする主人公たちの思考がさらにシュールでした。
 サンタを売るなよ、サンタを!!


 他にも何か見たと思うんだけど、思い出せない、、、 以上です。
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シンガポールに行ってきましたよ、その4。

2012-09-18 20:57:59 | 旅行
 間に別記事が入りましたが、たぶんこれで最後です。総括と、あと書き漏らしたことを適当に。

 シンガポール、絶対に行ってみたい!!と思っていたわけではないのですが、それでも前々から興味はあったんですよね。
 だって、麻薬所持がバレたら死刑ですよ?チューインガムの持ち込みは禁止で、唾を吐くと罰金、路上喫煙どころか室内の喫煙も基本禁止、まぁ何て素敵な国ざんしょ♪

 で、実際行ってみての感想なんですが、、、シンガポール、確かに綺麗な国ではある。落ちてるゴミは主に落ち葉だけでしたしね。道端に空き缶やら吸い殻やらがやたら落ちてる日本とは大違い!!

 でも、、、何となく歪なものも感じたかなぁ。
 例えば、シンガポールは緑が多いんですよね。公園も多い。その公園はもちろん手入れが行き届いている。
 日本であれば、晴れた日、公園には親子連れや犬を散歩に連れてきた人がいますよね。公園に幼い女の子を連れてきた母親を見かけても別段珍しくもなんともない。
 でも、シンガポールの公園にはそういった地元民がいないんですよ。いるのは観光客(と観光客の相手をする商売人)だけ。
 晴れた日の公園に、親子連れを一組も見かけないのは、例えどんな穏やかな天候であっても、心を寒々とさせるものがありましたよ。
 思うに、シンガポールって観光客と地元民の区分けが世界で最も上手く行ってる国なんじゃないのかなぁ。
 我々観光客が目にするのはシンガポールの表層的な部分だけであって、地元の人たちはそれ以外の場所に(隠れ)住んでいる。
 まぁ自分の考えすぎかもしれませんけどね。自分がたまたま地元民を見かけなかったってだけかもしれないですしね(何といっても自分がシンガポールにいたのは実質二日に満たないのだし)。


 最終日のお昼はインド人街のインド料理屋でカレーを食べたんですけど、食後、バスの出発時間まで少し時間があったので、お店の周りのインド人街を少しだけ散策してみました。
 そしたら、ストリートには露店やら何やら胡散臭い店が軒を連ねていて、見ているだけ楽しかった!!
 午前中は免税店や健康グッズの販売店を巡ったんですけど、出来たらここに来たかったです。ブランド物や快眠まくらなんか見ても仕方ないしね。


   


 怪しげなインド人のにーちゃんから買った細工物の卵。いや~、持って帰るのに超苦労しましたよ、、、というのは嘘で、卵型の木材細工。多い日も安心♪じゃなかった、落としても安心♪
 この他、ガラス細工(っぽいもの)を施したボールペンを買いましたよ。箔が剥げて閉口したけど。


 シンガポールって地震と台風がない国らしくて(!)、日本では絶対に建築許可が下りないだろうと思える建物をよく見かけました(《マリーナ・ベイ・サンズ・シンガポール》もそうですけどね)。
 その最たる例がこれ。


   


 この小さい写真でわかるかな、明らかに真っ直ぐ立ってない。笑。
 ピサの斜塔じゃないんだから!!って思いましたよ。


   


 マーライオン川に飛び込む子供たち、、、っていうの嘘で、そう見える銅像。
 こんな遊び心に満ちた銅像はいいですよね(でも日本ではソッコーで悪戯されるか、壊されそう)。


 こんなところかな。
 何となくケチをつけるような記事を書いてしまいましたが、シンガポール、基本的に自分は気に入りましたよ。
 もし自分が都市設計を一から任されたら、シンガポールを参考にしますね、、、ってありえんけど。
 もう一度行きたいかと聞かれたら、別にそうでもないかなと答えますけど、もしもう一度行くことがあったら、今度は一晩中クラーク・キーの喧騒に身を置いて、フーターズでフィーバーしたいですね。
 そのためには英語を勉強しなくちゃいけないでしょうけれど(無理だ)。
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『タッカーとデイル 史上最悪にツイてないヤツら』、ホラー映画から学べるいくつかのこと。

2012-09-17 18:37:47 | 新作映画
 ホラー映画嫌いを公言する友人から次のようなメールをもらいました。
 要約すると、あるブログで『スケルトン・キー』という映画が紹介されていて、好奇心で見たら面白かったけれど、見たことがあるか?というような内容でした。
 正直、、、ちょっと嫉妬しました。
 なぜなら自分が百万の言葉を費やしたとしても、その友人に『スケルトン・キー』を見せることが出来るとは思わなかったから。
 『スケルトン・キー』は脚本がとてもよく練れたホラー映画で、見たことがあるない以前にDVDを持っています。
 まぁ自分のくだらないプライドはさておき、友人がホラー映画を見るようになったこと自体は喜ばしいことだから、(『スケルトン・キー』が面白かったんであれば)『フレイルティー』というホラー映画も面白いですよ~!と返信しました。
 そしたらその友人からさらに返信が来て、『スケルトン・キー』はたまたま好奇心で見たが、ホラー映画が嫌いと公言する自分にどうしてそのような映画を薦めるのか?というようなことが書いてありました。
 ・・・・・。
 難しいな。笑。
 どういった経緯があるにせよ、『スケルトン・キー』という映画を見て面白かったから、言い換えれば、薦める価値があると思ったから、友人は自分に見たことがあるのか?と問うたんですよね。
 そして自分は、『スケルトン・キー』が面白かったのであれば、『フレイルティー』も面白いに違いないと思って、その友人に『フレイルティー』を紹介した。
 やってることは変わらないと思うんだけどなぁ。
 どちらも相手が面白いと思う映画を紹介(お薦め)しただけで…。

 ともあれ、ホラー映画を、ただ怖いからという理由だけで見ないのは、損だと思います。
 なぜなら、ホラー映画から学べることも決して少なくないからです。
 少なくとも自分は多くのヒューマンドラマと同様に、ホラー映画を見ていろいろなことを考えさせらます。
 『タッカーとデイル 史上最悪にツイてないヤツら』もそうでした。

 タッカーとデイルはお人好しで田舎者のオッサン二人組。念願だった別荘(というかあばら家。笑。)を手に入れた二人は週末を利用して遊びに来るのだが、キャンプに来た大学生たちに伝説の殺人鬼だと誤解されてしまい…。

 普段は東京や大阪といった都会に憧れるということはありません。
 昔ほど都会に魅力を感じなくなった、というのもあるし、東京じゃないと出来ないってこともそうあるとも思えないからです(定期購読しているテレビブロスが土曜日に届くとさすがにムカつきますけどね。コンビニでは水曜日発売なのに!どんだけ九州は東京から離れとるっちゅーんじゃ!!)。
 ただ、ときどき、東京と大阪でしか公開されない映画もあったりして、それは単純に羨ましいな~と思います。
 『タッカー~』もそんな一本で、DVD(が準新作)になったら見てみよう!と思ってました。
 そしてよーやく先日見たんですが、これがめっちゃ面白かったです。
 見終わった後にもう一回見てみようか、いや、いっそのことアマゾンで買っちゃうか、と思っちゃうぐらいに面白かったし、気に入りましたね。
 もし去年映画館で観ていたら、間違いなくベスト5に入ったと思います。

 ホラー映画から学べることがあると書きましたが、本作から学べるのは、まず、人は見かけで判断してはいけない、ということです。
 タッカーとデイルは見た目がもろに田舎者で、特にデイルはヒゲがもじゃもじゃのブ男なんですが、その彼が実は登場人物の中で一番知識があり、頭が良いという設定なんです。
 アメリカ五代大統領?そんなの簡単だよ、ジェームズ・モンローだよね、とさらりと答えるところはめっちゃカッコいい!!(自分なんて五代前の日本の総理大臣すらわからんのに…)
 そんな彼が、クライマックスでわずかな勇気と知恵だけを武器に殺人鬼と対決するシーンはほんとめちゃめちゃ燃えましたね。

 それから、もう一つ学ぶとすれば、物事はあまり先走って判断するべきではない、ということ。
 大学生たちは最初、タッカーとデイルのことを不気味で気色悪いって思うんですけど、その先入観が二人を殺人鬼だと思い込ませ、引いては後々の惨劇を生むんですよね。
 このことを教訓にすべき人は多いと思います。

 ホラー映画って勢いだけで作られるようなところがあって、しばしば脚本が蔑ろにされがちです。とりあえずグロいシーンだけ用意しとけば観客はそれで満足するだろうというような、作り手の傲慢さが垣間見えることがあります。
 しかし、その点『タッカー~』はすごく脚本が(『スケルトン・キー』や『フレイルティー』と同様)よく考えられていて、え?あれが実は前振りだったの?と驚かされました。

 ただ、一つだけ本作には難点があって、それは何かというと、ツタヤの独占レンタルなんですよね。近所にツタヤがなければ、借りるすべがない。
 これだけ優れた作品をツタヤだけの独占にはしたくないな~。

 あと本作は、基本笑えるコメディなんですが(めちゃめちゃ笑いましたよ)、スプラッター描写も半端なくて、その手のものが苦手という人にはお薦め出来ません(二つ目やんけ)。
 でも最後まで見てもらえたら、きっと満足してもらえると思うんですけどね。
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『鍵泥棒のメソッド』、う~~~ん、物足りない。。。

2012-09-16 23:53:05 | 新作映画
 内田けんじ監督、堺雅人主演、『鍵泥棒のメソッド』、9/15、Tジョイ久留米にて鑑賞。2012年36本目。


 自分は現在、七十枚以上のDVDを所有していますが、その中で邦画の実写作品はわずかに一枚しかありません。
 その唯一の邦画とは、内田けんじ監督の『運命じゃない人』です(『ウイークエンド・ブルース』とのツインパックなので正確には二枚ということになるけど)。
 別段、生涯邦画のDVDは『運命じゃない人』しか買わないゾ!と心に固く誓っているわけではないのですが、やっぱり邦画のDVDって洋画のそれより一般的に値段が高いですからね。廉価版で発売されることもほとんどないですし。
 まぁともかく、内田監督の『運命じゃない人』がそれぐらい好きってことです。

 なので、内田監督の新作が公開されると聞いて、ヒャッホーと内心小躍りしましたよ。前売り券を早速購入し、公開日を心待ちにして、公開初日の初回上映に観に行きました。
 さて、肝心の感想ですが、、、う~~~ん、物足りない。
 いや、別に悪い出来だったってわけではないんですよ。むしろよく出来てる。役者は皆演技が達者だし、展開は意表を突かれるし、オチのつけ方も悪くない。百点満点でいえば八十点ぐらいはつけられるかな。
 普段だったら十分満足できるんですよ。ただ、『運命じゃない人』の監督の新作として観るとどうしても物足りなさを覚えてしまう。
 悪くはないんだけど、もっと面白いものを観せてくれるんじゃないかって鑑賞前に期待しちゃってるんですよね。
 百点を超える面白さの作品を観せてくれるんじゃないかと勝手にこちら側でハードルを高くしてしまうのです。
 そういう観る側の勝手な期待というのは、作る側からすればいい迷惑なのかもしれませんね。
 まぁでもこれからも、勝手に期待し続けると思いますけれど。。。


 お気に入り度は★★★☆、お薦め度は★★★★(★は五つで満点、☆は★の半分)です。
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