クリストファー・ノーラン監督、ジョン・デヴィッド・ワシントン主演、
『TENET テネット』、9/18、Tジョイ久留米にて鑑賞。2020年26本目。
まず、感想を語る前に今、この時期に本作を観れたことに感謝の言葉を述べたいと思います。
ノーランも馬鹿ではないでしょうから、超大作である『TENET テネット』の公開時期が今がベストだとは考えていなかったでしょう(8/26の世界公開を最終的に決めたのがノーラン本人なのかどうかは知りませんが)。
ニューヨークやサンフランシスコといったアメリカの主要都市で映画館が営業を再開してから公開した方が興行収入が多くなることぐらいノーランはわかっていた、と思います。
にもかかわらず、今、この時期に『TENET テネット』を公開した、そのことにノーランの男気を感じますね。
自分たちさえ儲ければそれでいい、金の亡者であるディズニーとはえらい違いだと思います。
yahoo映画のユーザーレビューで本作は賛否両論、という否定的な意見の方が多いように見受けられます。
合う合わないは誰にでもあるので、否定的な意見だからダメだ、とは言いませんが、それは如何なものか、と思うものも多くありました。
例えば、難解な映画だから駄作だとか、一回観ただけで理解出来ない映画はダメだ、といったコメントをしている人がいました。
難解な映画は駄作だというのであれば『2001年宇宙の旅』は超のつく駄作でしょう。
仮に本作に「俺は名もなき男。俺がその奇妙な事件にかかわることになったのは…」といった具合に主人公のナレーションがついて作品がわかりやすいものになったら、本作の評価を高めるのでしょうか。
また一回観ただけで理解出来る映画と一回観ただけでは理解出来ない映画、どちらが上とかどちらが下とかそういうことはないと思います。
どちらも「アリ」ですよね。
それから本作の矛盾を指摘する人も見受けられましたが、本作を一度観ただけで何がどう矛盾しているのかわかる人がいたら、その人は相当頭のいい人ですよね。
もしかしたら矛盾に見えて、矛盾ではないのかもしれないのですから。
正直自分もこの作品のすべてが理解出来たとは到底言い難いです。
ただ、ストーリーはごくごくシンプルだと思いましたよ。
世界の滅亡を企む悪い奴がいて、主人公はそれを阻止しようとする、それだけのお話でしょう?
なぜわかりにくいのかというと「逆行」という現象が絡んでいるからですが、別にそれについてはあまり深く考える必要はないんじゃないでしょうか。
例えば同じスパイアクションものの『ミッション・インポッシブル』シリーズにおいてトム・クルーズ扮するイーサン・ハントはしばしばどうしてそんな面倒なステップを踏まなければいけないの?と思うような行動を取ることがあります。
答えは映画だから、ですよね。
映画だからイーサン・ハントは派手なアクションを披露しなければならず、必然的に物語もアクションを中心に展開する。
本作でも同様に、なぜ逆行が起こるのか?ではなく、逆行という現象が存在する世界だから物語がそのように展開する、そう考えればあまり矛盾を考えずに済むのかもしれません。
そういえば、ごく最近、時間が逆行する映画を見たばかりなのでした。
その映画とは
『ぼくは明日、昨日のきみとデートする』です。
この映画は主人公が自在に逆行するわけではないので、『TENET テネット』に比べて受け入れやすいかもしれません。
まぁ矛盾を突きたがる人間はどの映画を見ても矛盾を突くのかもしれませんが。笑。
お気に入り度★★★★、お薦め度★★★(★は五つで満点、☆は★の半分)です。