創作小説屋

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ある平凡な主婦の、少しの追憶②

2007年05月25日 10時21分31秒 | ある平凡な主婦の、少しの追憶(一部R18)
彼とは、この8年間、まったく音信不通だったわけではない。

別れた二年後に、共通の友人の結婚式で再会した。
この時は一言も言葉を交わさなかった。
人づてに、私達が別れる原因となった彼女と別れたということを聞いた。

その後も、そういった結婚式だの同窓会だので、何度か会った。
最近になって、ようやく少しだけ直接話をするようになった。

昨年末に共通の友人の結婚式で会ったときに、
「こうやって、君と普通に話せるとは夢にも思わなかった」
と言われた。
彼は私にした仕打ちのことで、ものすごく自分を責めているらしい。

私といえば、確かに当時は辛かったとは思うのだけれど、
憎しみの感情というのは続かないもので。
今となっては、楽しかったことしか思い出せないから不思議だ。

でもそれが逆に苦しかったりもする。
楽しかった記憶が、何かの拍子にリアルに蘇ってきたときなど、苦しくて息が詰まる。
もうこの切なさが手元にはないものだと実感する。

もしかしたら、今も憎めていれば、もっと楽なのかもしれない。

彼は今年の秋に結婚するそうだ。
私の次の彼女と別れたあと、自己嫌悪から5年以上恋人を作れなかったという彼。
その彼を救い出した新しい彼女と人生を共にする決意をしたらしい。

もちろん、心から祝福する。祝福できる。
コメント
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