創作小説屋

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ある平凡な主婦の、少しの追憶③

2007年05月28日 10時48分19秒 | ある平凡な主婦の、少しの追憶(一部R18)
私は今、東京に住んでいる。
彼は5年ほど前から北海道で勤めている。

週末に友人の結婚式があるから上京してくるらしい。
だから結婚式が始まる土曜の夕方まで時間があるから、会えたら会いたい、という。

・・・・・・どうしよう。

土曜日、夫はちょうど会社の女の子と出かける予定だった。
(私は夫が女の子と2人で出かけることについて、特に異論はない。男女の友情というものは存在する、という持論があるからだ)

問題は子供達だ。
出かけるとしたら・・・実家に預ける?
いや、実家の両親は確か午後から予定があるといっていた。
でも午後までなら預かってもらえるかも・・・?

でも、何て言う?
夫は、私が彼と会うと言ったら怒り出すに決まっている。
今となって考えると、8年前のことを夫に話すべきではなかった。
夫は私を傷つけた彼のことを憎んでいるのだ。
話していなければ、ただの高校の同級生ということにしていれば、会っても文句は言われなかっただろうけど・・・。

実家の両親も、8年前の一件を知っているので、私が彼と会うといったらいい顔はしないだろう。
たぶん、子供を預かってほしいといっても断られる。

他の友達と会うといって出かければいいのかな・・・。
でも、誰ということにしたら自然だろう?
子供を預けるのに自然な理由・・・。

と、ここまで考えて、ふと我に返った。

みんなに嘘をついてまで、会うの?
そんな後ろ暗い思いをしてまで会いたいの?

そんな思いをしてまで会いたいなんて・・・。
まさか、私が・・・?

・・・やめた。
やめたやめた。

今の幸せな生活を壊すようなことはしたくない。
そんなのは間違っている。

結局、断りのメールを出した。
これでいい。これでいいんだ。
コメント
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