ライオンの詩 ~sing's word & diary 2

~永遠に生きるつもりで僕は生きる~by sing 1.26.2012

運命の糸。その二。

2012-11-12 01:25:27 | Weblog
一心不乱に木を彫っている人がいる。下を向き、黙々と彫っている。周囲の雑踏の騒がしさと一線を画すその空間。そこに入り込むことに躊躇いを感じるほどの、その空間。

僕は・・・その人の前にしゃがみ込んだ。

誰かが横から話し掛けて来たようだが、僕にはその声は届かなかった。

僕は、その人の前にしゃがみ込んでいる。その人は、僕の存在に気づくこともなく、一心不乱に彫り続けている。

ふと、糸が・・・繋がった。

その人と僕の目が合った。

こんにちは。・・・僕は二風谷であなたに会いました。

おぉ、とその人は声を漏らし、立ち上がり右手を差し出してくる。僕も立ち上がり、その手を強く握る。

覚えているだろうか?
二風谷のキャンプ場で、クマのウンチを見せに連れて行ってくれ、鮭の産卵を一緒に待ち眺め、アイヌ文化博物館のチセでトンコリの演奏を聴かせてくれ、アイヌの歴史や文化や伝統工芸について教えてくれたあのおじさんを?
てっきりアイヌの人だと思って話していたら、実は東京出身の、僕らと同じシャモだったおじさんのことを?

そのおじさんが、今目の前にいる。二風谷から1000キロ以上も離れた、池袋の街での再開だ。金色の招待券をもらったことも、一等の巨大なヌイグルミを当てたことも、ジャンケン大会で優勝したことも、全部薄れてしまうくらいの驚きではないか。

えっ?ヤラセだろって?
・・・。
えっ?知ってたんだろって?
・・・。
池袋に行くなんておかしいって?
・・・。
いやだなぁ・・・。偶然だよぉ。・・・。ホントに。・・・。ぐ・う・ぜ・ん。

いやぁ、運命の糸って・・・あるんですねぇ。

つづく・・・かな?

運命の糸。

2012-11-12 00:39:55 | Weblog
日曜日なので、珍しく出掛けた。珍しく池袋へ行ってみた。帰る頃には雨が降るっていうのに、バイクで出掛けた。

なんとはなしに池袋の街をブラブラと歩く。服が欲しいわけでも、雑貨が見たいわけでもないので、なんとはなしにブラブラと歩く。ふと目に入る文字・・・平取町商工会の文字。

ん?これはあの、北海道の平取のことかなぁ?

北海道から帰って来たばかりだ。それは気になるってもんだろう。
今時珍しいサンドイッチマンが掲げるその文字を追って、てくてくと歩く。
しばらく歩くと、何やらイベントらしき会場に着いた。この会場の中で、平取町のなにがしかが観られるということなのだろう。入場料を500円・・・と書いてある。・・・何をやっているのかも分からないのに、入場料を取るなんて・・・大したイベントだぜ。そう思いながら、チケットを買う列に並ぶ。
すると、一人のおばさまが斜め左方向からこちらへ向かって歩いてくる。何十人もの人が並んでいるにも関わらず、僕の前で立ち止まった。一枚の紙切れを差し出しながらこう言った。

一枚余ったから、これ差し上げるわ。

そして、立ち去って行った。不思議なこともあるものだが・・・こういうこともあるのだ。
チケットの行列に並ぶ人からの羨望の視線を受けながら、招待券と書かれた光り輝くチケットをヒラヒラとさせながら、僕は列から外れる。・・・こういうことも、あるのだ。

中に入るとクジ引きをやっていた。別にクジ引きなどやりたいわけではなかったのだが、歩いていたらクジを引かされた。クジを開くと・・・一等・・・と書かれていた。ん?一等?
景品引換所のボードの一番上には、ペア旅行券!と書いてある。えっ?旅行券?当たったの?まぢで?と、クールに興奮しながら、一等のクジを係の人に手渡すと、おめでとうございます!!!と叫ばれ、巨大なヌイグルミを渡された。クジに外れた人の群れ、これからクジを引く人の群れから感嘆の声が上がる。巨大なヌイグルミを抱えさせられた僕は・・・少し恥ずかしいだろ?逃げるように、その場を後にする。
去り際にもう一度ボードを見ると、ペア旅行券は特等だった。一等が一番上ではなかった。特等の下の一等のところにはもちろん、巨大なヌイグルミ、と書いてあった。・・・持って帰れねぇよ。

少し歩いたところで、誰かに背中をドンと押されて二三歩つんのめったら・・・そこはジャンケン大会の会場だった。ん?ジャンケンなんてしたくねぇよ。と思っていると・・・威勢のいい声がスピーカーから響く。

さぁ、利き腕をあげてぇ!

なんといっても、ここはジャンケン大会の会場なのだ。手を挙げないと周りから白い目で見られる。仕方がない。ヌイグルミを持っていない左手を挙げた。

最初はグー!ジャンケン・・・。

あれよあれよと勝ち進み、決勝戦でも勝ってしまい、望みもしないのに、二重構造保温保冷タンブラーを左手に持たされてしまった。・・・右手には巨大なヌイグルミ。左手にはタンブラーの箱。・・・もう何も持てねぇよ。

それにしても、なんなんだ?今日は?なんでも当たる日なのか?こういう日もあるのか?

それにしても、平取町の商工会はどこにいるんだ?

つづく。