ライオンの詩 ~sing's word & diary 2

~永遠に生きるつもりで僕は生きる~by sing 1.26.2012

富良野のお風呂にて。

2012-11-16 05:26:45 | Weblog


富良野山部、廃バスの五右衛門風呂。
地主の佐藤さんが水を出してくれたので、山部滞在何日目かでお風呂に入れるようになった。
釜を綺麗に洗って、水を注ぎ込み、薪を焼べてお風呂を沸かす。リアルタイムファイアーなので、湯加減の調整が難しい。今だ!という時に入らなければ、結構面倒臭いことになる。

ところで、その五右衛門風呂は地面から少し高い所にある。1メートルくらいの高さにある。釜の下には石とセメントで固めたカマドがある。

その日は、星が綺麗な夜だった。流れ星を観ながら入る五右衛門風呂なんて最高だ。富良野の夜は寒い。冷え切った身体をお風呂で温めるなんて最高じゃないか。
お湯の温度を確かめて、今だ!というタイミングを見極める。廃バスに戻って、素早くお風呂の準備をする。ほぼ全裸で、廃バスの入り口を出て裏にある五右衛門風呂へと歩く。ほぼ全裸というより、全裸だ。寒い寒い!とつぶやきながら五右衛門風呂の台の上に上がる。かけ湯をして、いざ入浴!
あっ、五右衛門風呂の底に敷く板を忘れてた!と、右手で板を取る。板を沈めて、それに足を乗せて入るというわけだ。
板を取って、底に沈めようとしたその時・・・足が滑った。右手に板を持ったまま、足が滑った僕なのである。半回転だか一回転だかはわからないのだが、回転しながら転落したのである。背中から。もちろん全裸で。・・・これは痛い。死んだかと思った。全裸で。寒空の下、死んだかと思った。全裸で。
しかし、死んではいなかった。死んでいなかった僕は、全裸なので寒いのだ。とにかく、台に上がって、土の付いた身体と板を洗って、五右衛門風呂にじゃぶんと入る。どうも何箇所か擦りむいたみたいだ。ピリピリとしみる。でも、寒いよりはいい。あぁ、気持ちがいい。あぁ、死ななくて良かった。全裸で。

その日は、お風呂に浸かりながら唄を口ずさんでいた。星がキラキラの輝く寒い夜だ。
僕は僕が書いた曲の中で、この歌詞は素晴らしい出来だな、と想う曲がいくつかあるのだが、その中でもベストだと確信するのが「ローズ」の歌詞だ。
この唄の歌詞は、細部まで抜かりなく作ってある・・・気がする。特別な何かではなく、普通に素晴らしい。この唄は世に出るべき唄なのではないかと、珍しく思ってしまうのだが・・・。

まぁ、ピリピリとするひじ辺りの擦り傷をさすりながら、満天の星の下でローズを歌う。

さぁ、ローズが聴きたくなったことでしょう。CDを持っている人は聴きましょう。持っていない人は、どんな唄なんだろう?と想像しましょう。
冬にぴったりの唄なのです。

いやしかし・・・回転しながら背中から地面に落ちても、かすり傷で済むこの俊敏さと受け身の上手さ。しかも全裸で。と、ローズなんていう名曲を作ってしまうこの才能。

なんてことだ・・・天は二物を与えてしまったな・・・。

おしまい。