憧れの鳥取砂丘へ行って、ラクダやリフトや、列をなす人混み、しょーもない落書きを見て、「ふーん、これが鳥取砂丘か・・・全然・・・ロマンチックじゃないな」などとは思わないで欲しい。
鳥取砂丘に・・・ロマンチックはある。
鳥取砂丘にキャンプ場がある。ザ・鳥取砂丘的スボットから2~3キロ離れた丘の上にある。ちなみに、無料。
キャンプ場と砂丘は、細い道一本隔てただけである。徒歩30秒で砂丘なのである。ロマンチックはここにある。
朝、トコトコと散歩へ出かける。もちろん道一本隔てた砂丘へ。
風紋が残る砂丘をザクザクと歩く。砂丘に自分の足跡を刻みながら歩く。人影はほぼない。たまにある。マニアックな人たちはどこにでもいる。それが少し心強い。
砂漠に生える植物ならぬ、砂丘に生える小さな葉っぱが砂を被り、砂の表面に凹凸を作っている。風が描いた絵画のようだ。
立ち枯れた木なのか、何かの墓標なのか、何かの目印なのか、アートなのか・・・砂の丘にロマンチックな光景が広がる。
西オーストラリアの黄色い砂漠、荒野の墓標「ピナクルス」を思い出す。
こういう景色が好きだ。
砂の丘の上から海を見下ろす。下りたら登るのが大変だから、下りるのはやめておく。
あとは自分の足跡を辿って、来た道を戻る。
遥か彼方に砂丘を横断する人の群れが見える。
うら寂しい砂の丘にしばし佇む。これもまたロマンチックだ。
鳥取砂丘に行くのなら、ぜひ、こんなロマンチックを体験して欲しいと、僕は切に願う。
でもやっぱり、一応ラクダとリフトとお土産屋さんも見て欲しい。古き良き観光地って感じで、それはそれでロマンチックだったりもするのだから。
それはそうと、正月1/2の鳥取砂丘の夜はかなり冷え込んだ。雪の残るキャンプ場。
結構な厚着をして、外で晩御飯を食べていたのだが・・・みるみるうちに身体が冷えていく。一枚着足し、また一枚着足し。白い息はゴジラの吹く火のように出るし、米を洗う時の水はナイフのように尖っているし・・・。真っ暗だし、誰もいないし。寒くて死ぬかと思って、ちょっと笑った。正月なのに・・・って、ちょっと思った。おコタでミカン・・・にちょっと憧れたりもした。
でもね、ザ・ワールド・ファステスト・インディアンのアンソニー・ホプキンス扮するバート・マンローがこう言っていたよ。
「危険が人生に味をつける
リスクを恐れてはいかん
それが生きるってことだ」
つまり、ぬくぬくより、ドキドキの方が楽しいってことなんだ。ドキドキ出来るうちに、たくさんドキドキしておかないとって、僕は思うんだね。
僕の人生には、どれくらいの味が付いたのかなぁ・・・きっと、まだまだ全然美味しそうじゃないな。
バートマンローはこうも言っていたよ。
「夢を追わない人間は野菜と同じだ」
さぁ、頑張ろうっと。
ちなみに、何の野菜って聞いたら、「キャベツ」って言っていたよ。
おわり。