関口モータースの関口さん曰く、ミッションのシールからオイルが漏れている。部品を取り寄せるから、すぐには直らない。
僕は聞いてみる。
「このまま走って、すぐに壊れちゃうってことはないですよね?」
関口さんは言う。
「うん、すぐにってことはないよ。大丈夫大丈夫」
「ちょっと出掛けようと思ってて」
「ちょっとなら大丈夫大丈夫」
「ちょっとってどれくらいですかね?」
「うーん、200キロくらいなら大丈夫大丈夫」
「もうちょっと遠くに行くんですよね」
「ん?どれくらい?」
「出雲なんで・・・往復2000キロかなぁ?」
「ん?・・・まぁ・・・大丈夫かなぁ?・・・大丈夫なんじゃない?」
そんなこんなで、チビチビとオイルを垂れ流しながら、2500キロを走って無事に生還。
それがお正月の出来事。
部品が入荷したってことで、関口モータースへ行ってきた。
そりゃあもう、関口さんってのは物凄くいい人でね。お客さんから余計なお金を取ることが大嫌いって人でね。
たとえば、「この部品を注文してください」って頼みにいったとする。そうすると、「この部品は頼むと高いんだよ。なんかなかったかな?」と工場の中を探し回る。で、なんか類似品の部品をウイーンウイーン加工して、パチっと付けて、「うん、お金はいいよ」って言っちゃうような人。
古き良き時代の町工場の人って感じなんだな。
つづく。