ライオンの詩 ~sing's word & diary 2

~永遠に生きるつもりで僕は生きる~by sing 1.26.2012

なぜ中学生は正座をさせられるのか?についての考察。

2015-04-17 02:22:50 | Weblog
中二の時、バレンタインデーにチロルチョコを時速70キロの速さで投げつけて来た女の子がいた。
その、ちょっとおかしな愛のカタチの表現者が、そのちょっと後に僕のガールフレンドになるマユミちゃんである。通称マユユである。

建設業に携わる人間は、ほぼヤクザっていうことは、最近ではそこらの小学生でも知っている事実である。
建設業の社長なんかになると、ほぼほぼヤクザというよりは、完全なヤクザと言っても過言ではないということは、最近ではそこらの幼児にも父親が教えるべき必須事項になっているらしい。こんな具合にである。「ああいう人を指差して『ヤクザ』って言ってはいけないよ、絶対に。ロシアが誇るトカレフで撃たれちゃうからね」。

マユユの親父は、建設業の社長だった。

中学生というのは、とかくコソコソとするものである。万引きの癖がついているからなのかどうかは知らないが、基本的にコソコソしている。それが中学生なのである。

マユユと会う時は、いつもコソコソしていた。なぜなら、中学生だったから。

ある日の夜、マユユに逢いに行った。マユユに逢いに行って、マユユの親父に捕まった。
マユユの親父を見て、おれは思ったね。

「ヤクザじゃん・・・金のゴツい指輪してんじゃん・・・モノホンのヤクザじゃん」

なぜか知らないが、ヤクザに捕まって正座をさせられる中坊のおれ。あ~ぁ、嫌になっちゃうよ。
うちの娘に手を出しやがって!と半ギレしている太ったヤクザ。なぜか正座をさせられている中坊のおれ。あ~ぁ、嫌になっちゃうよ。人生、辛いことばかりだぜ。

中学生の数少ないいいところは、なんでもすぐに忘れちゃうというところである。暖簾に腕押し、打っても打っても響かない。

ある日のこと、マユユが家に来いと言う。

嫌だね。と思ったね。行くかバカ!と思ったね。またヤクザに捕まるじゃん!と思ったね、僕は。

すると、マユユがこう言う。
「大丈夫、今日は誰もいないから」

誰もいないから・・・だれもいないから・・・ダレモイナイカラ・・・

「いく!」

男ってのがバカな生き物だってのは、否定のしようもない事実なのだが、男ってのは中学生の頃からバカなのである。つまり、男ってのは一生バカなのである。

そして、マユユの家。出来立ての三階建ての家。
二十畳ほどもある、マユユの親父自慢のカラオケルームを見学している時だった。大画面のスクリーンの前に置いてある、金ピカのマイクを指でツンツンとしていた時である。

お約束である。オヤクソクなのである。

ガチャンと玄関の扉が開く音がするのである。ドカドカと太ったヤクザが階下を歩く音が聞こえるのである。

「ダレモイナイカラって言ったやーん」

マユユの凍りついた顔、よりもさらに、僕の顔は凍りついていたんだよ、マユユ。

ドタバタである。ヤクザに捕まりたくない一心なのである。殺されるのである。絶対に殺されるのである。見つかるわけにはいかないのである。逃げるのである。逃げるが勝ちなのである、

カラオケルームのある三階から、忍び足で二階へ降りる。
そして・・・まさかの二階からの大ジャンプなのである。殺されるよりは、死んだほうがマシなのである。

男というのは、いつの時代も、バカで勇敢なのである。

マユユが持ってきてくれた靴を履いて、トボトボと家路を歩きながら、幼き僕は思うのである。

女の子が言う「ダレモイナイカラ」は、絶対に信じちゃいけないぞ、と。

幼き頃を思い出しながら、僕は思うのである。

ヤクザの娘とは、付き合ってはいけないぞ、と。殺されるぞ、と。

つづく。