珪藻土のスプーンてのがある。湿気を取るスプーン。調味料とかの容器に入れておくと、湿気を取ってくれて調味料が固まらない。そういうのが欲しい。
僕は考えた。素焼きだ!素焼きのスプーンを作ればいいんだ!
珪藻土よりは湿気は吸わない。が、しかし、そこそこなら湿気は吸う。グッドアイデアだと想う。どう思う?
ジムニー号の話の続き。
翌日、僕は反省していた。
「あきらめてはいけない」
「あきらめたら終わりや」
「やるっきゃない」
「やるっきゃない」
あきらめかけていた自分を戒めて、丸一日ドリルで穴を開け続ける気で、ボンネットの中へ座る。そしてひたすら、穴を開け続ける。
なんかさ、すごーく大きな穴は開いている。でも、その穴が、ちっとも望む方向へ延びていない。それが問題だ。
どんなに大きな穴が開いても、方向が違えばネジは挿さらない。
昨日の失敗は繰り返さない。中途半端な状態で蓋を閉めて試しても、ただただラジエター液が噴き出すだけだ。目指すは、完全なる穴。
あぁ、バカみたいな作業だ。
もともとは水温が上がるからと始めた作業。
関係ない箇所のネジを折ってしまい、その修復を試みて、端から見ると、車を壊しているようにしか見えない作業を延々としている。
そして、知ってる?つまり、知ってる?万が一、奇跡が起きて、この作業がうまくいったとて、水温が下がるわけではないってこと。
あぁ、バカみたいな作業だ。
夕方前、パコッという感じで、何かが外れた。・・・ネジだ。折れたネジが、やっと取れた。つまり、元にあった穴が現れたということだ。やった。ついにやり遂げた。おれ。やり遂げた。
8ミリのネジが入っていて箇所に、2センチくらいの大穴を開けてしまった。・・・もうダメかもしれない。でもね、最前は尽くしたよ。ほんとに。
一縷の望み。
ガスケットを入れ、蓋を閉め、6ミリのボルトを入れる。入る。下からナットをはめる。はまる。ラチェットで締める。締める。締める。締まった。
エンジンをかける。
ボンネットの中を覗く。もう薄暗い。
液は、漏れるのか?漏れないのか?
どうなんだ?
ポタポタ・・・ポタポタ・・・
ジャーーー。
漏れてんじゃーん!
エンジンを止める。
ボンネットを閉める。
部屋に入る。
「さて、どうするっかな」
ジムニーちゃんとは・・・もうサヨナラかもしれない。
つづく。