環境省Hp「代表的な湧水」で、兵庫県の『神戸市西区の湧水』として3か所記録されています。
私の出身地の山口市にも「朧の清水」、「藤の水」、「柳の水」と呼ばれている『山口三名水』があります。環境省にはその内の一つ、滝町(旧、法泉寺)の「柳の水」が登録されています。
その関係もあり、西区の湧水に興味を惹かれました。
今回(2014/3/28/FRI)はその内の「野中の清水」を訪ねました。
所在地は神戸市西区岩岡町野中となっています。
県道378号線、寺下バス停付近です。神出町を水源とする瀬戸川(一部地域での俗称「鰈川」)の畔にあります。
建設省HPで、「新古今和歌集(鎌倉時代初期)の中でも詠まれた名水で、播磨十水の一つ。鰈川のほとりにある琵琶形をした小さな泉。野中の清水公園の中にある。」と概要紹介されています。
日本五水のひとつとも言われていたようです。
古今和歌集(平安前期)に
古(いにしえ)の
野中の清水 ぬるけれど
もとの心を 知る人ぞ汲む
(読人不知)
と詠まれている他、西行法師(平安時代後期)も
むかし見し 野中の清水 かはらねば
我がかげをもや思ひ出らん
と詠んでいます。
新古今和歌集では、古今和歌集の「古の 野中の清水...」を本歌とし、この本歌に寄り掛かって
今はとも 思ひなたえそ 野中なる
水のながれは 行きてたづねむ
と、大中臣輔親(おおなかとみのすけちか)が詠んでいます。
また、源 国信(みなもとのくにざね)も康和2年(1100年)に主催した「源宰相中将家和歌合」において、古今和歌集の歌に寄り掛かって
汲みみてし 心ひとつをしるべにて
野中の清水 忘れやはする
と詠んでいます。
これらのことから分るように、多くの人によって和歌に詠まれ、歌集に撰ばれるなどし、広く親しまれていたようです。
同様のことはよくあることですが、冒頭に紹介した、古今和歌集(読人不知)の歌は、和歌山県田辺市中辺路町野中の野中坂巻山の中腹にある「野中の清水」とルーツの取り合いになっているようです。
しかし、和歌の世界では「野中の清水」といえば、播磨国(はりまのくに)印南野(いなみの)にあったという清水を指していると考えるのが一般的とされています。
和歌の話になってしまいましたね!話を元に戻しましょう。
県道378号線、寺下バス停から約100m西に掲示されている案内板に従って約130m北方向、瀬戸川に向かって進むと、野中の清水公園に行き着きます。
瀬戸川のすぐ手前、小さな清水橋の直前にあります。
1996年(平成8年)に市民公園として整備されたもので、園内の片隅には児童公園の遊具が設置されています。
清水が湧きだす湧水口を確認することはできませんでしたが、池の中にあるものと思われます。
【関係サイト】
○ 環境省HP「代表的な湧水」
○ 神戸市西区Hp 神戸まるごと田園ミユージアム構想 野中の清水
○ 神戸市観光壁紙写真集 野中の清水・播磨十水・兵庫名水情報
○ 山口市文化政策課 甦れ歴史空間 大内文化まちづくり 大内文化の地域資源 山口三名水
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<水つながりで一言>
私が卒業した高校(県立山口高等学校;旧制県立山口中学校)の大先輩である種田山頭火が詠んだ俳句(自由律俳句)にも、“水”を読んだものが多々あります。一部を紹介すると、
・水音の絶えずして御仏とあり
・濁れる水の流れつつ澄む
・こんなにうまい水があふれてゐる
・ふるさとの水をのみ水をあび
・ここまでを来し水飲んで去る
・飲まずに通れない水がしたたる