スケルトンハウス‐きまぐれCafe

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改憲議論

2018-09-01 08:40:40 | 社会・経済

 改憲か護憲か! 現行憲法は1946年(昭和21年)11月3日に公布、1947年(昭和22年)5月3日に施行されました。

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書名:シリーズ日本国憲法・検証〔A6判;文庫本〕
著者:竹前 栄治、岡部 史信、高橋 紘、前田 英昭、
    古川 純、古関 彰一、天川 晃、 小田中 聡樹
発行所:株式会社 小学館
ジャンル;社会・政治

第1巻 憲法制定史     初版発行日:2000年6月1日
第2巻 象徴天皇と皇室   初版発行日:2000年8月1日
第3巻 国会と政治改革    初版発行日:2000年7月1日
第4巻 基本的人権     初版発行日:2001年3月1日
第5巻 九条と安全保障   初版発行日:2001年1月1日
第6巻 地方自治・司法改革 初版発行日:2001年5月1日
第7巻 護憲・改憲史論   初版発行日:2001年6月1日



 2000年(平成12年)6月1日~2001年6月1日、小学館から発売された本です。2000年にジュンク堂書店で手にし、2001年の第7巻まで発行される都度購読しました。
 このシリーズは、いまや戦争や占領を知らない世代が過半数を占める時代において、護憲か改憲かの議論のための前提と、日本国憲法の法的、歴史的な基礎知識の国民への普及を目標とし、日本国民にわが国のあるべき姿を問うています。
 戦後の憲法施行以来70年以上が経過しています。その間、改憲論議が数多くなされてきており、2000年には憲法調査会が設置されましたが、気運は低調でした。
 2017年5月、安倍晋三首相が憲法第9条への自衛隊明記を提起したことから、市民の一部では集会を開くなど、多少、活性化の様相を呈してきました。

 憲法改正については、憲法第九章「改正」第九十六条において、次のように規定されています。『この憲法の改正は、各議院の総議員の三分の二以上の賛成で、国会が、これを発議し、国民に提案してその承認を経なければならない。この承認には、特別の国民投票又は国会の定める選挙の際行はれる投票において、その過半数の賛成を必要とする。』

 現在、自民党が主導する改憲論議では、改憲の必要性がある根拠として、「戦後、民主国家となるために、世界の理想をアメリカから押し付けられた。」だから「自主憲法の制定が必要」ということを議論の切り口とし、大衆を煽ろうとしています。

 しかし、この本を読む限りではそうではありません。
 敗戦により荒廃し、国家としての主権を失い、連合国の植民地と化した日本を、独立国として立て直し、未来永劫存続する、国民にとってより良いと思われる施策がなされる国家はどうあるべきかを、我われの先祖・先輩が一生懸命に考えて行動し、当時のわが国に対して世界の代表であった進駐軍(GHQ)に草案を上程(若しくは上奏)した自主憲法だったということが分かります。

 つまり、「アメリカから押し付けられた」のではなく、「自らが決めた」国家の在り方なのです。

 先ずは、この辺りから、現行憲法を見つめ直し、時代の変化も考慮して、改憲の必要性を考えることだと思います。

 自民党が必死に改憲を唱えている主たるポイントは、現行憲法では違憲となる“自衛隊を如何に合憲化するか”の一点であろうかと思います。残った改
憲案は、自衛隊の合憲化をスムーズに実現するための方策として、ポピュリズムに迎合するものだと思います。

 わが国側から上程した憲法案は、軍事に結びつく全てのことを排除するものであったため、逆に、独立国としては自衛のための最低限の軍備を持つようGHQが指示して、「警察予備隊」、後の「自衛隊」を設置するようにしたものであることが分かります。≪1950年(昭和25年)8月10日にGHQのポツダム政令の一つである「警察予備隊令」(昭和25年政令第260号)により設置された武装組織。1952年(昭和27年)10月15日に保安隊(現在の陸上自衛隊)に改組されて発展的解消をした。≫

 現在自民党が主導している改憲案は、自民党に都合のいいように改めようとしているのではないかと勘繰られて仕方ありません。
 その一例が、国民の意見を単に賛成か反対かの二つに分けようとしていることです。「一部を改正する必要はあるが、他は変えなくてよい」とする意見を単に改憲賛成に仕分けてしまうといった考え方です。

 2018年9月20日投開票で自民党総裁選が予定されています。1974年に連続3選を禁止する規定が自民党に導入され、長らく継続されていましたが、2017年に任期の限度が「連続3期」に延長されたため、現職の安倍晋三氏の立候補が可能となりました。
 最大党の党首が総理大臣になり、内閣を組閣する慣習がある以上、この選挙は見過ごせません。

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自民党派閥系譜図

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 今、安倍首相は揺れています。改憲気運の低下と直近に迫った政局への対応として、「改憲」が不利に働くのではないかといった危惧の念です。
 また、国民・大衆にとってショックなのは、リベラルだと思っていた『日本維新の会』が本件については最右翼だという事実が明らかになったことだと思います。

国会冷める改憲熱 首相提案1年、総裁選へ旗おろせぬが

2018年5月2日 朝日新聞DIGITAL



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 現在、自民党には「改憲4項目」と称する改憲案があります。

①自衛隊について
 これについては、上述の通りですが、方法論として、
(1) 9条1項、2項を維持し、自衛隊を憲法に明記するにとどめる。
(2) 9条2項を削除し、自衛隊の目的・性格をより明確化。
※(1)及び(2)に共通する問題意識として、「シビリアンコントロール」も憲法に明記すべきとの意見が自民党内にもあります。
※5月3日の安倍首相の発言で、(1)の自衛隊加憲論が主流となりつつあります。

②緊急事態について
 国民の生命と財産を守るため、何らかの緊急事態に関する条項を憲法上設ける。
(1)  選挙ができない事態に備え、国会議員の任期延長や選挙期日の特例等を憲法に規定すべき。
(2)  諸外国の憲法に見られるように、政府への権限集中や私権制限を含めた緊急事態条項を憲法に規定すべき。

③合区解消・地方公共団体について
 両議院議員の選挙について、一票の較差(人口比例)への対応により行政区画と選挙区のずれが一層拡大し、地方であれ都市部であれ今後地域住民の声が適切に反映されなくなる懸念がある。このため47条を改正し、(1) 両議院議員の選挙区及び定数配分は、人口を基本としながら、行政区画、地勢等を総合勘案する。とりわけ、(2) 政治的・社会的に重要な意義を持つ都道府県をまたがる合区を解消し、都道府県を基本とする選挙制度を維持するため、参議院議員選挙においては、半数改選ごとに各広域地方公共団体(都道府県)から少なくとも一人が選出可能となるように規定する方向。
 同時に、その基盤となる基礎的地方公共団体(市町村)と広域地方公共団体(都道府県)を92条に明記する方向で検討。
 安倍首相は、「2020年を新しい憲法が施行される年にしたい」としています。
 この施策は現職議員のための「お手盛り」感が強いといわざるをえません。

④教育充実について
 教育の重要性を理念として憲法上明らかにするため、26条3項を新設し、教育が国民一人一人にとっての幸福の追求や人格の形成を基礎づけ、国の未来を切り拓く上で欠くことのできないものであることに鑑みて、国が教育環境の整備を不断に推進すべき旨を規定する方向でおおむね意見が一致している。
 しかし、89条では私学助成が禁止されていると読めることや、森友学園問題や加計学園問題を気にしてか、条文改正を行うべきとの意見もあります。
 この「教育無償化」も、自衛隊加憲と同様に、5月3日安倍首相のビデオメッセージで急遽優先順位が上がった改憲項目。『経済的な理由に関わらず教育を受けられる権利がある』、程度の無償化ならいいのではないか。完全に無償だと富裕層に逆用されかねないと危惧されます。










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【関係先リンク】

 ○ 日本国憲法e-Gove 電子政府の総合窓口

 ○ 自民党 憲法改正推進本部

 ○ 朝日新聞DIGITAL『憲法議論「活性化」と言うものの 対話の形、市民ら模索』

 ○ 朝日新聞DIGITAL 国会での改憲論議は






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