司馬遼太郎氏著作の花神を読みました。昔、NHKドラマで感銘を受け、いずれ原作を読みたいと思っていた作品です。
書名:花神(上・中・下)〔A6判;文庫本〕
著者:司馬遼太郎
発行所:株式会社 新潮社
初版発行日:1976年(昭和51年)8月30日
初刊:1972年(昭和47年)に株式会社新潮社(単行本 全4巻)
ジャンル;歴史・時代小説
NHK大河ドラマDVDの概略説明では、
「維新の原動力となった若者の活躍を描いた青春群像劇」
「江戸時代末期、桂小五郎との出会いによって、田舎の医者から討幕司令官に身を転じ、 明治維新の実現に尽くした長州藩の大村益次郎(村田蔵六)。 波乱に満ちた彼の生涯を中心に、激動の時代を生き抜いた男女の人間群像を描く。」
とされています。
作品名:NHK大河ドラマ 花神 総集編 (中村梅之助主演 DVD 全4枚セット)
原作:司馬遼太郎 脚本:大野靖子 音楽:林 光
NHKスクエア限定商品
1977年 (昭和52年)放送
「BOOK」データベースには、次のような概要が記されています。
周防の村医から一転して討幕軍の総司令官となり、維新の渦中で非業の死をとげたわが国近代兵制の創始者大村益次郎の波瀾の生涯を描く長編。
動乱への胎動をはじめた時世をよそに、緒方洪庵の適塾で蘭学の修養を積んでいた村田蔵六(のちの大村益次郎)は、時代の求めるままに蘭学の才能を買われ、宇和島藩から幕府、そして郷里の長州藩へととりたてられ、歴史の激流にのめりこんでゆく。
私が中学生の頃、山口市糸米2(旧、吉敷郡上宇野令村)にある木戸神社(木戸孝之の旧宅内に建立)の狭い境内で、神社の近所に住む益本某君と何度かボール遊びをしていた時期があります。
その神社の祭神である木戸孝之(桂小五郎)が惚れ込んだ男、鋳銭司の村田蔵六とはどんな人物なのか。
名高い桂小五郎(木戸孝之)ただ一人に推挙されて明治維新前夜に突如現れたかのような村田蔵六(大村益次郎)という男について、同じ長州・周防人として、その為人(ひととなり)を少しは知りたいと思いました。
司馬遼太郎氏の緻密な調査に基づく語りに引き込まれ、我を忘れて読み通してしまいました。
地理的な要素も少しは把握しておく方がいいかもしれません。長州藩は「周防の国」と「長門の国」から構成されています。
この小説に出てくる地名について、現在の防府市は、古事記や日本書紀では「佐波の水門」が有名ですが、そこより少し東寄りのJR山陽本線・防府駅南の三田尻や宮下、佐波川より西の山口市の鋳銭司や瀬戸内海寄りの阿知須など、懐かしい地名に何となく頷きながら読み進めました。
明治維新直前の「周防の国」の領域は、現在の、防府市、下松市、岩国市、光市、柳井市、周南市、大島郡、玖珂郡、熊毛郡、阿東町を除く山口市の大部分、宇部市の一部にあたります。
長州の他の地域は「長門の国」になります。
歴史的なことは、近代史であっても知らないことが沢山あります。この小説を読むだけでも、司馬遼太郎の範囲においてではありますが、かなりの事を知ることができました。
幕府や藩に仕える勇ましく、武骨な蔵六像がクローズアップされるなか、オランダおイネさんとの関係、嫁として迎えたお琴さんのこと、ひとり毎日のように、一丁の豆腐を突き乍ら2合の酒を独酌する蔵六のことなど、人としてとても好ましく思えました。
【関係先】
○ 山口市観光情報サイト 西の京 やまぐち
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