1月14日(火)晴れ。
午前中に郵便局に行き「新年会」の案内状を発送。郵便料金が110円となり、細かい話だが様々な郵便物の経費がかさむ。午後から、関内でランチ。適当なお店を探して、初めての焼き肉屋に入った。焼肉ランチが一人前2700円。メニューの写真は良かったのだが、出てきた肉は最悪。「特上カルビ」「中落ちカルビ」だの説明は良かったが、脂ばかりで、全く肉感がしない。人生の大事な一食を無駄にしてしまった。
先日、馬車道で昼食を取った帰りに、タクシーで帰ろうかと思ったが、伊勢佐木町の有隣堂が近かったので、ふらりと入った。別段、読みたい本もなかったが、「食」に関する棚にあったのが、向田邦子さんの『メロンと寸劇ー食いしん坊エッセイ傑作選』(河出書房新書)という本。向田さんの本はほとんど読んでいる。『メロンと寸劇』も、かつて向田さんが出した本の中から「食」に関係するエッセイを抜粋し、まとめたものだ。以前、同じ出版社から出ている向田さんの『海苔と卵と朝めし』を買ったことがある。『メロンと寸劇』を読んでいて、記憶に残っているエッセイが何点かある。それでも人間の記憶などいい加減で、読んでいるはずの文章なのだが8割ほど新鮮な気持ちで読めた。タクシーを乗ったつもりで買った本を読みながらバスでのんびりと帰った。
その向田さんが台湾で飛行機事故にて亡くなったことを知った時は、とてもショックだった。向田さんは、私と同じ飛行機嫌いで、著書『霊長類ヒト科動物図鑑』中の「ヒコーキ」と題したエッセイにこう書いている。「私はいまでも離着陸のときは平静ではいられない、あまり片付けて出発すると『やっぱりムシが知らせたんだね』などと言われそうで、縁起を担いで汚いままで旅行に出る」と書いている。このゲン担ぎも虚しく昭和五十六年八月二十二日、取材旅行中の台湾苗栗県三義郷で遠東航空機墜落事故にて死去された。五十一歳だった。
夜は、久しぶりに、カツオのたたき、ミスジ肉、人参のシリシリサラダ。飲むべきか、飲まざるべきか・・・。悩んだが、「私と別れるの」と「黒霧島」の声がして、酔狂亭にて月下独酌。