6月26日(日)晴れ。
朝食は、家族そろって「お粥」と鮭の「山漬け」。今日は、午後一時より友人の還暦祝いが西横浜の「オアジ」にて行われ出席。東京に戻る下の子供を保土ヶ谷まで送る。オアジには一時少し前着。松本、佐伯両氏の段取りでお店の一階を貸し切り。談論風発、口角飛泡、喧々諤々の酒席。気の置けない人たちとの酒は楽しい。解散後に「飲み足りない」人達と「やまと」へ。7時前に帰宅。
私の蔵書の中に気に入った本は多いが、幾度も読み返す本と言うものは、それほど多くない。その「お気に入り」の一冊に車谷弘氏の『わが俳句交遊記』(角川書店)がある。車谷弘さんは、『文藝春秋』や『オール読物』などの編集長を務めた編集者で俳人。その中に、有吉佐和子さんから「七夕の茶会」に誘われた話があり、興味深かった。招かれたのは、車谷さんの他に日本学者として有名なドナルド・キーンさんや外国人の大学教授にまじって俳優の加東大介さんに野村證券社長の北裏喜一郎さんといった人たち。
その茶席にかかっていた掛け軸を日本人の皆が誰の書で何と書いてあるのか分からない時に、ドナルドキーン氏が「これは勝海舟の書でこう書いてあります」とすらすらと読み下した。こひれには居合わせた人たちが皆驚いた。その勝海舟の書は今日の「七夕の茶会」合わせた意味の物であり、更には花瓶の花も棚の置物も皆、七夕ゆかりの物だったそうだ。有吉さんの教養と気遣いが感じられてならない。
私の幼馴染に古美術を商いにしている友人がいる。その人から、古美術や人間関係などについて教わることが多いのだが、特に、「家にある書画骨董を見てほしい」と頼まれて伺うと、家は素晴らしく立派でも、いわゆる成金の家にある物は、大きいだけのいわゆる「こけおどし」の物ばかりでこ、ほとんどと言って良いほどろくなものがないそうだ。反対に、家は質素でも、由緒正しい方の家は、玄関に小さな香炉(それも高価な)が一つ置いてあったり、季節に合わせた絵や軸物がさりげなく飾ってあったりで、「品」を感じるといっていた。車屋弘さんの「七夕の茶会」を読んで、友人の話を思い出した次第。