86歳女性が一昨日に顔面の腫脹で外科外来を受診した。頭頸部CTで多発性の頭蓋骨・顔面骨の溶骨と軟部腫瘤が認められた。この方は2008年に多発性骨髄腫と診断され、当時当院にいた腫瘍内科医がMP療法を行っていた。化学療法を休止して経過を見始めた頃、その先生が基幹病院へ移動になった。大学院生が増えた大学腫瘍内科からアルバイトとして内科外来にきてもらうことになったので、その内科新患枠で降圧剤などの処方を継続していた。再発再燃はないと思われていたが、治癒するのかといえば治癒することはないのだろう。
骨髄腫の再燃だろうという画像診断の読影だった。正確には生検だが、溶骨して腫瘤形成している部位を刺すことになる。だいぶ前から自宅内では這って移動する状態だったという。受診は介助で車いすだった。
前に診ていた腫瘍内科医に紹介しようとしたが、その病院から指示が来て、週1回血液内科外来(大学病院血液内科から)があるので、そこに紹介するようにということだった。今週金曜日に予約をとった。
今朝患者さんの自宅から電話が来た。食事もとれないし、動けなくなっているので、救急車で当院に連れて行くという。来てもらうのはかまわないが、さて紹介はどうしようかと困ってしまった。以前主治医だった腫瘍内科医に電話して、事情を説明した。まず組織が取れないと対応はできないという。ただ、患者さんの今の病状では化学療法の適応は難しいという。緩和ケアを当院で行って経過をみるのが現実的だということになった。家族が希望すれば、予約をとった血液内科の外来に家族が紹介状をもって受診して、先生と相談してもらう。
救急車で搬入された患者さんは一昨日の月曜日よりさらに悪化していた。夫と娘さんと相談したところ、もう当院に入院させてもらえればそれでいいという。専門医との相談も希望しなかった。今日は頸部から鼠径部までCTをとった。CTでわかるような固形癌はなかった。右肺炎も併発していて、飲み込みjが悪くなって誤嚥したのかもしれない。
点滴と抗菌薬投与、それに少し迷ったが、少量のステロイドの点滴も行うことにした。骨髄腫以外の悪性腫瘍の可能性もあるが、病状は骨生検どころではない。シンチはできるが、意味があるかどうか。