なんでも内科診療日誌

とりあえず何でも診ている内科の診療記録

低血糖遷延

2015年03月18日 | Weblog

 糖尿病で市内の内科医院に通院している83歳女性が意識消失で救急搬入された。血糖21mg/dlで低血糖だった。救急当番の先生(循環器)が低血糖をわかって、ラッキーと思ったそうだ。50%グルコース40ml静脈注射で意識はすぐに戻った。

 この患者さんの内服薬はアマリール3mgとジャヌビア50mgだった。アマリールの低血糖は遷延するので、それだけでも入院治療になるが、炎症反応の上昇と軽度の肝機能障害もあった。尿路感染らしい尿所見はなかった。胸部CTで明らかな肺炎はない。腹部エコーとCTで見ると、胆嚢は腫大しているというほどではなく、結石もないが、debrisを認めた。右季肋部に圧痛があるようだが、その都度痛いと言ったり痛くないと言ったりで、胆嚢炎と確定しがたい。

 この方は関節リウマチがあって、プレドニン10mg/日を内服している(つまりステロイド糖尿病)。体温は37,3℃だが、プレドニン+NSAID内服なので、マスクされているのだろう。昨年12月から3月初めまで下腿の蜂窩織炎で外科に入院していた。病巣は小さいが、治りが悪く長期になったそうだ(主治医の話)。今回は蜂窩織炎はない。右手関節に腫脹・熱感があり、発熱の原因が関節リウマチや他の原因の関節炎の可能性も否定はできない。(NSAIDを定期に内服していても痛風・偽痛風の発作は起きる?)

 病室に上がってからも低血糖になった。SU薬による低血糖に関しては、10%グルコースの点滴静注を継続して、低血糖時は50%グルコース静注で明日まで経過をみることにした。感染症疑いとしては胆嚢炎に準じて、スルペラゾンで治療することにした。救急室で血液培養と尿培養は提出している。

 先週MSDのMRさんに、ジャヌビア50mgでもうひとつ血糖が下がらない時に、ジャヌビア100mgに増量してどれほどの上乗せ効果があるのかと聞いた。今日さっそく資料をもってきた。上乗せ効果はあるようだ。高齢者でDPP4阻害薬以外に糖病薬が使いにくい時に(BOTなどのインスリン導入も困難として)、DPP4阻害薬増量はひとつの選択肢として使えるかもしれない。

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