アルコール性肝障害と高血圧症で内科外来に通院している77歳男性は、もともと腰痛症(腰部脊椎間狭窄症・椎間板ヘルニア)があった。今月になってから腰痛が悪化して、2週間前に整形外科を受診した。腰椎X線の検査を受けて、NSAIDとトラマールが処方された。1週間後に疼痛が改善せず、トラムセットとリリカが処方された。昨日の早朝に歩行できなくなり、救急搬入された。
当直医は麻酔科研修をしている若い先生だった。リリカの副作用疑いで整形外科に入院した。しかし血液検査で炎症反応上昇と肝機能障害(これは元々ある)があって、整形外科医から内科に転科となった。
炎症反応上昇は2週間前の整形外科受診時からあった。2週間の経過で、程度はあまり変わっていない。その頃から熱っぽい感じはあったそうだが、正確に体温測定はしていなかった。入院時には38℃の発熱があった。
発熱・腰痛・炎症反応上昇ということで、化膿性脊椎炎を疑った。昨日腰椎MRIを撮ろうとしたら、MRIが故障していてできなかった。まず血液培養2セットと尿培養(神経因性膀胱あり)を提出した。胸部X線・胸腹部CTで肺炎はなかった。胆道感染はない。尿所見は沈査で白血球数が軽度に上昇して細菌(+)だった(導尿)。CTの矢状断でL4に溶骨像があり、読影レポートにはMRI検査を勧めるとあった。
今日腰椎MRIを撮ると、L4とL3に脂肪抑制T2強調画像で高信号を認めて、読影レポートには化膿性脊椎炎に一致するとあった。整形外科外来で診たのは若い先生だったが、明日は整形外科の上の先生にも相談することにした。
明日大学病院循環器科から応援医師が来て心エコー検査をする予定なので、当院の循環器科医に相談して明日の検査に入れてもらった。明らかな心雑音はないが、心臓弁の疣贅の有無をみておきたい。入院後はセフトリアキソンで治療を開始して、翌日からは解熱している。化膿性脊椎炎だと黄色ブドウ球菌が多いので、セファメジンにするべきかもしれないが、血液培養の結果が出るまでは、そのまま継続することにした。