なんでも内科診療日誌

とりあえず何でも診ている内科の診療記録

くも膜下出血、脳出血

2015年03月15日 | Weblog

 85歳女性が転倒後に意識消失したとして救急搬入された。外傷後といことで外科医に連絡がきて、外科で対応することになった。搬入された患者さんは昏睡状態だった。頭部に外傷らしい痕跡はなかった。頭部CTで明らかなくも膜下出血を認めた。要するに、SAHが発症して昏倒したのだった。対応した外科医(大学病院からの応援医師)が脳外科の搬送先を探し始めた。当院から近い2か所の病院はだめだった。脳血管障害の専門病院に電話すると、その外科医の同級生が電話に出て、受けてくれた。そこは最近満床で断られることが多かった。たまたま空床があったのか、同級生ということが効いたのかわからないが、とにかく搬送できてよかった。

 69歳男性がレストランで友人と昼食を食べていて、急に構語障害と左半身麻痺が出現した。意識もみるみる低下した。搬入されてみるとその男性は母親が誤嚥性肺炎で入院(10回以上)する時に来ていた息子さんだった。その母親は当院から療養型病床のある病院に転院して、それから数か月後に亡くなった。今回は息子さん本人だった。今は一人暮らしをしていて、友人と遠い親戚に当たる人たちが来ていた。頭部CTをとると、脳幹部それも中脳(ほとんど大脳という位置)に脳出血をきたしていた。

 SAHの患者さんの搬送先として外科の先生が電話してだめだった病院を除くと、あとは2か所しかない。1か所にまず電話した。脳外科医が出て、そもそも脳幹出血は脳外科手術の適応がないこと、搬送しても改善する余地はほとんどない(血圧のコントロールくらい)のでという。そうは言われても脳出血を内科で診るわけにはいかない。いったんは脳外科で診てもらわないと家族が納得しない。その後に方針が決まればリハビリ目的とか、経管栄養とかで受けてことはありうるが。

 家族(娘二人)は遠くにいて、連絡がつかなかった。脳外科医が言うには、脳外科での手術適応がないこと、期待されても特に有効な治療はないこと、急性期を過ぎれば(あるいは数日後にともいう)他の病院に転院になることを家族が了解すれば引き受けてもいいという。いっしょに来ていた友人と遠い親戚の方になんとか家族と連絡をつける様に頼んだ。やっと患者さんの弟さん(京都にいた)に連絡がついて、その後群馬県にいる娘さんに連絡がついた。事情をお話しすると、とにかく最善をつくしてというもっともな希望だった。

 もう1回依頼していた病院に電話して家族の意向を伝えると、なんとか引き受けてくれた。搬入した救急隊は帰ってしまっていた。SAHの患者さんを搬送した救急隊が付き添っていった看護師さんを乗せて当院に寄ったので、そのまま今度は脳出血の患者さんの搬送を依頼した。

 後でもう1回頭部CTを見ると、脳出血(脳幹部出血)の部位としては一般的ではない。脳室に少し穿破している。これはくも膜下出血ではないのか。脳外科医はくも膜下出血ならば受け入れますと言ってた。くも膜下出血も疑われるということであれば、もっと快く受けてもらえたのかもしれない。

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