なんでも内科診療日誌

とりあえず何でも診ている内科の診療記録

つい処方してしまった

2015年08月04日 | Weblog

  89歳男性が3か月前から内科病棟に入院している。基幹病院呼吸器科に誤嚥性肺炎で入院して、肺炎は治癒した。経口摂取をさせるとムセって誤嚥するため、絶食で高カロリー輸液での管理になった。年齢的に、胃瘻造設は考慮しなかったようだ。療養型病床へ申し込んだが、すぐには入院(転院)できないので、その間当院での入院継続を依頼されて転院してきた(下請けと言っている)。

 転院してきて、家族から食べたがっているので、食べさせたいと希望された。誤嚥性肺炎が危惧されるが、それでもかまわないという。肺炎になった時は、酸素吸入・喀痰吸引・点滴抗菌薬投与は行いが、重症肺炎でも人工呼吸管理はしないという方針に同意した。嚥下訓練を担当している聴覚言語療法士が付いて訓練を開始した。少しずつゼリー食・ソフト食と上げていって、ミキサー食まで食べられるようになった。時々ムセ込むので心配にはなるが、明らかな肺炎はなかった(不顕性にはあるのだろう)。

 療養型病床が空いたが、食事摂取できるので入院できる条件はなくなった。改めて施設入所を申し込んで入所待ちとなった。今度は施設がなかなか空かない。

 当院に転院した時から、尿閉で尿カテーテルが留置されていた。感染管理で尿カテーテル留置患者さんの尿培養が自動的に提出される(不要だと思うが)。尿培養からはMRSAが検出され、毎月自動的に尿培養でMRSAが検出される患者さんとして報告されることになった。発熱はなく(発語はあるが会話は成り立たない)、炎症反応上昇もないのでカテーテル関連無症候性細菌尿(CA-ASB)になる。ただ、白血球貪食像を認める点が気にはなる。

 このMRSAはGM・MINO・ST・FOMに感受性があるので市中型なのだろう。バクタ内服を処方すると次の尿培養でMRSAが陰性になった。ちょっとうれしかったが、意味があるのかといえば意味はない。「カテーテル関連無症候性細菌尿に対するスクリーニングと治療を施行することは勧められない」となっているが、ついやってしまった。

コメント
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