脳梗塞後遺症の69歳男性は誤嚥性肺炎が軽快したが、ST介入で嚥下食を開始してみたが、ムセて喀痰が増加して微熱も生じた。いったん休止して、もう1回試してみたが、結局難しいという判断になった。来週内視鏡的胃瘻造設(PEG)を行うことにいた。ことにしたが、改めて胸腹部CTで確認すると胃はいわゆる横胃で肋骨弓内にあり、横行結腸がどかんと胃の前にあった。これでは胃瘻は無理だった。結腸と胃を串刺しにしてしまう。いっしょに胃瘻造設を行っている消化器科医は、迷った時にはNGチューブを挿入して空気で胃を拡張させて胃瘻ができるかどうか判断しているが、この場合は行うまでもなく無理だ。家族(妻と息子)来てもらって、胃瘻造設術の同意書にサインしてもらう予定だったが、CVカテーテル挿入の同意書にサインしてもらうことになった。
内頸静脈からCVカテーテル挿入を行うことにした。内科系ではエコーで静脈の位置を確認して穿刺していて、エコーガイドではなかった(エコーを使ったランドマーク法?)。外科ではエコーガイドで内頸静脈を穿刺していて、ちゃんとプローブに被せるカバーが院内にあることが判明した。今日はそれを使って、本当のエコーガイド下の穿刺を行った。CVのキットも最近正式に購入したテルモ製を使った。穿刺針が細く、Y字の注射器で穿刺したままガイドワイヤーが挿入できる。カットしなくても挿入できるというダイレイターが案外挿入しにくかったが、それ以外は順調に問題なく挿入できた。
私は鎖骨下静脈穿刺の世代だが、内科系の若い先生先生たちは内頸静脈穿刺を行っている。鎖骨下からアプローチしているのは、50歳代の消化器科医と神経内科医のみだ。外科は年配の先生方も内頸静脈穿刺になっている。大学で行ったエコーガイド下内頸静脈穿刺の講習会では、講師の先生が鎖骨下静脈穿刺は「野蛮」な手技と言っていた。自分はかなり遅れているのだった。
今日、村川裕二先生編集の「むかしの頭で診ていませんか?循環器診療をスッキリまとめました」南江堂を購入した。土日に読むのが楽しみだ。