先月末に救急搬入された89歳男性は、急性肺炎と汎血球減少症を認めた。認知症があり、自宅の外で倒れているのを発見されて、家族が救急要請したという経緯だった。
肺炎に対して抗菌薬を投与した。入院後はふらふらと動き出してベットサイドに倒れたりして、体幹抑制を要した。家族から最近は食事でムセるようになっていたと言われていたが、確かに、食事をするとゼロゼロして吸引を要した。
入院後に汎血球減少症が増悪したが、専門病院への紹介も難しいと判断され(連絡しても受けてはもらえないだろう)、当院で骨髄穿刺を行った。血液担当の技師さんから血球貪食像と異型な細胞を認めるというコメントがあった。抗菌薬に加えてステロイド(1mg/Kg)を投与してが、結局2週間の経過でDICになって亡くなった。
その後に骨髄像の結果(外注)が帰ってきた。やはり血球貪食像と正常骨髄にはない異型細胞を認め、「リンパ腫細胞を疑います。血球貪食が旺盛です。細胞表面マーカーでご確認ください。リンパ腫関連血球貪食症候群が疑われます。」とあった。可溶性IL2レセプターは11300と著増していた。
胸腹部CT(頸部から鼠蹊部も含む)で明らかなリンパ節腫脹はなく、リンパ節生検はできない。骨髄生検すればいいのだろうが、骨髄穿刺液のクロットを提出すれば組織診断もできる。
今度機会があれば提出するが、それよりもすぐに血液内科のいる専門施設へ搬送したい。患者さんが精査治療の対象となる中年(か認知症のない比較的若い高齢者)だと紹介できるが、認知症の(超)高齢者だと実際は自施設で対応するしかない。