なんでも内科診療日誌

とりあえず何でも診ている内科の診療記録

「破れかぶれセット」

2017年06月12日 | Weblog

 昨日の春季セミナー「街場の血液学」の講演で宮崎仁先生が、「破れかぶれセット」を紹介していた。お知り合いの飯塚病院総合診療科・井村洋先生が、診断がつかない時に提出する血液検査セットだそうだ。

 神経症状(下肢のしびれ?)の診断がつかない患者さんがいて、宮崎先生が整形外科や神経内科にも紹介したが、診断がつかなかった(これは神経内科だろうと言っていたが)。「破れかぶれセット」を提出したところ、ビタミンB12が測定感度以下だったという。ビタミンB12欠乏による亜急性脊髄連合変性症だった。血算(CBC)で貧血はなかったので通常は想起しないから、セット様々になる。

 「破れかぶれセット」は、血算・生化学・アミラーゼ・カルシウム・TSH/T4・フェリチン・亜鉛・ビタミンB12・血糖/HbA1c(これにACTH・コルチゾールを追加するかどうかという)。なるほどの項目だが、自分では亜鉛は思いつかなかった。総合診療の名医でも、わからなくて途方に暮れることはあると思うと、ちょっと安心する。

 自分で出すとすれば、抗核抗体・ANCA・可溶性IL2受容体も出しそうだ(根拠ないけど)。鈴木富雄先生の不明熱でのチンチンチン(血沈・フェリチン・尿沈渣)も出す。高齢者の食欲不振が来ると、男性でCEA・CA19-9・PSA,女性ではCEA・CA19-9・CA125の癌セットを出す(これも根拠ないけど)。とりあえずの(?)血液培養2セットもけっこう役立つ。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする