糖尿病と老人性うつ病で通院している70歳半ばの女性が、今日(定期の予約日)外来を受診した。先月末から身体中が痛くて動くのが大変という。両側上腕と大腿に把握痛があるようだ。しゃがむ動作ができないという。ベットからの起き上がりと、ベットに寝ようとして足を上げる動作がひどい。
同じ時期から両手(手関節)と両足(足関節)の浮腫もあった。症状からはリウマチ性多発筋痛症、それも浮腫を伴うRS3PEが疑われる。白血球は8500と正常域(ふだんも7000~8000)だった。追加したCRPは0.5mg/dlとわずかの上昇しかなく、きっとこちらは亢進していると思った血沈も35mm/時とたいした値ではなかった。
症状はPMR・RS3PEだが、炎症反応の上昇がわずか過ぎるので、ちょっと迷う。それでも、この症状を呈する他の疾患も思いつかない。入院した方がいいかと聞いたが、患者さんは迷っていた。歩行はできるし、食欲は普通。
プレドニン10mg/日を1週間外来で続けて、来週再受診とした。プレドニンを少なめにしたのは、やせて体重が少ないこと、炎症反応が低値なこと、糖尿病(HbA1c7.0%)がありプレドニン投与で血糖が上昇することから。
昨年は食欲低下で10Kg以上痩せた。膵癌などを疑って検査したが、異常はなかった。うつ病による症状と判断されて、精神科受診が好ましいが、嫌がった。内科で抗うつ薬(SSRIのジェイゾロフト)を投与して、しだいに元気になった。この患者さんの夫と娘も糖尿病で私の外来に通院している。