昨日の救急当番の時に、60歳代後半の女性が搬入された。搬入依頼の救急隊からの連絡では、しりもちをついた後に腰痛があるという。腰椎圧迫骨折と思われ、来てもらうことにした。
来てみると、痛いのは左股関節部だった。旅館の階段を上ろうとした時に、2段目のところでスリッパが階段に敷いてある絨毯にひっかかって、転倒したそうだ。左股関節部を打撲したという。大腿骨頸部骨折のようだ。腰椎には疼痛・圧痛はない。近くの整形外科に骨粗鬆症で通院している方だった。しりもちをついて腰痛というのは、どこから出た話なのだろうか。
X線で確認すると、左恥骨・坐骨骨折と大腿骨頸部骨折があった。そこで整形外科医に連絡したが、CTの指示が出た。CTのオーダーにMalgaigne骨折疑いとあった。どんな骨折で、そもそも何て読むのかわからなかった。
Malgaigne(マルゲーニュ)骨折は、骨盤輪が前方と後方の2か所で骨折する不安定な骨盤骨折で(垂直にずれると起こる)、大量出血するものらしい。仲田先生の本にもちゃんと載っていたが、すっかり忘れている。CTの結果それには相当しなかった。そのまま入院して、今日無事に大腿骨頸部骨折の手術が行われた。