なんでも内科診療日誌

とりあえず何でも診ている内科の診療記録

陰嚢膿瘍

2020年12月25日 | Weblog

 地域の基幹病院消化器内科から当院に転院してきたアルコール性肝硬変の69歳男性。腰椎圧迫骨折があり、リハビリ目的での転院だったが、一人暮らしで在宅生活はできないので、実際は施設待ちの入院だった。

 尿閉で尿カテーテルが留置された状態で来て、いったん抜去してみたが、自尿がなく再挿入になっていた。前立腺肥大は目立たず、腰椎圧迫骨折の程度がひどく、脊髄の障害も疑われた。

 今週初めから発熱があり、留置カテーテル尿なので評価が難しいが、尿路感染症と判断された。白血球16700・CRP10.1と炎症反応の上昇を認めた。

 前回の尿培養でEnterococcus faecalisfaeciumKlebsiella pneumoniaeが検出されていたので、スルバシリン(ABPC/SBT)で開始した。尿カテーテルを入れ替えて再度提出した尿培養ではEnterococcus faecalisとKlebsiella pneumoniaeだった。スルバシリンに感受性があり、軽快するはずだった。

 昨日の木曜日の午前中に悪寒がきて、39℃の高熱になった。そして陰嚢部に痛みを訴えた。改めて陰嚢を診察すると全体に腫脹して、圧痛著明だった。色調は発赤ではなく、若干紫がかった?黒色。訊くと数日前からは痛かったそうだ。

 肺炎や腹部の膿瘍疑いで、胸腹部CTを撮影して、幸い陰嚢も含まれていた。全体に腫脹して内部に低濃度の貯留物がある。時刻は11時過ぎだった。当院の泌尿器科は全部非常勤医で、その日は午前中だけの診察だった。

 泌尿器科外来に行って事情をお話して、病室で診察してもらった。陰嚢穿刺で膿が引けて、膿瘍貯留と判断された。小切開をすると膿が流れ出てきた。絞り出して、生食で洗浄すると陰嚢の大きさは半分近くに小さくなった。ドレーンが留置された。

 留置カテーテルが影響して、精巣上体炎から膿瘍化したのではないか、と言われた。留置カテーテルは抜去して、間欠導尿で経過をみるようにと指示された。

 昨日は高熱が続いたが、今日は解熱していた。CTで両側背側に誤嚥性肺炎を疑う陰影もあったので、陰嚢膿瘍と合わせて抗菌薬投与を継続することになる。

 

 

 

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