「外来診療のUncommon disease vol.3」生坂政臣編著(日本医事新報社)を読んだ。このシリーズはvol.1、vol.2続けて購入している。今回のvol.3には、巨細胞性動脈炎(Giant cell arteritis:GCA)の症例が2例含まれていた。
症例32には、臨床分類として、
1)Cranial GCA 頭痛、顎跛行など古典的臨床像(頸動脈とその分枝)
2)Large vessel GCA 高安動脈炎の類似(大動脈とその分枝)
3)Silent GCA 虚血症状を欠き非特異的な全身炎症所見のみ
の記載がある。
また症例69は、「巨細胞性動脈炎は稀に下肢の大血管炎にも炎症を生じる」と記載されている。間欠性跛行を呈して、PET-CTで胸部下行大動脈・大腿動脈・膝下動脈・後脛骨動脈にFDGの集積を認めた症例だった。
リウマチ性多発筋痛症の症状を呈したが、プレドニン少量では反応せず、側頭動脈の所見がないかった症例があった。リウマチ膠原病科のある病院へ紹介して、造影CTで胸部大動脈とその分枝に炎症像を認めたと報告がきた。Large vessel GCAだった。
またリウマチ性多発筋痛症として治療を開始したが、病状が急激に悪化した症例があった。認知症で寝たきりに近い高齢者で、専門医への紹介が難しかった。苦し紛れにプレドニン30mg/日を投与したところ、劇的に症状が改善した。
これはLarge vessel GCAかSilent GCAだったのだろうか。プレドニン漸減は15mg/日までが限界で、それ以上減量すると炎症反応と症状が悪化していた。
巨細胞性動脈炎とリウマチ性多発筋痛症だけに特化したテキストがほしい。