なんでも内科診療日誌

とりあえず何でも診ている内科の診療記録

脂肪肝炎?

2020年12月16日 | Weblog

 内科新患を診ていた内科の若い先生に相談された。患者さんは、昨年7月から通院している糖尿病・非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)の36歳代女性だった。

 統合失調症で精神科クリニックに通院していた。検査で血糖高値(Hb8.8%、随時血糖318mg/dl)と肝機能障害があった。(もっと以前からあったと思うが、記載はない)

 当院受診時、HbA1c9.0%で、肝機能障害はAST 142・ALT 200・LDH 325・γ-GTP 130だった。画像上は明らかな脂肪肝だった。皮下脂肪・内臓脂肪ともに著明だった。身長162cm・体重117kgと肥満がある(BMI 44.6)。(放射線科は、読影レポートは肥満・脂肪肝とシンプルな記載だった)

 メトホルミンとDPP-4阻害薬でHbA1cは順調に改善して、今日はHbA1c7.3%とまだ下がり続けていた。しかし肝機能障害がAST 172・ALT 285・LDH 298・ALP 111・γ-GTP 169とむしろ悪化していた。見た目の印象では、初診時よりも体重増加しているらしい。

 ここまでの値だと単純性脂肪肝ではなく、脂肪肝炎なのかもしれない。CRPが受診時からごく軽度に上がっている(0.5~0.7)のが気になった。非アルコール性脂肪肝炎(NASH)疑いとして肝臓専門医に紹介するのが好ましい。

 とりあえず、脂肪性肝疾患だけでいいのかという問題がある。まだ検査していなかったので、肝炎マーカー(陰性だった)・ANA・AMAを紹介の前提して検査してもらう(否定のための検査だが、自己免疫性肝炎併発がないとはいえない)。

 また専門医に紹介といっても、行く気があるかどうかという問題もあり、今日はまず紹介の可能性もあることを伝えてもらう。外注検査の結果をみて、次回に紹介を考慮することにした。

 

 以前、病院職員で脂肪肝炎疑いの20歳代男性を、地域の基幹病院消化器内科の肝臓専門医に紹介した。本人が希望しないかったころもあり、結局肝生検はしないで経過観察になっていた。

 肝障害の程度は今回の方が重度になるので、肝生検の判断はおまかせするとして、まずは紹介したい。

 

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