なんでも内科診療日誌

とりあえず何でも診ている内科の診療記録

ビタミンB1欠乏

2020年12月30日 | Weblog

 宮田靖志先生の「プライマリケアの現場で役に立つ さらに!一発診断100」(文光堂)を読んでいた。「一発診断」の3冊目の本になる。

 その中に、ビタミンB1による「脚気心(症例20)」と「下腿浮腫(症例82)」の症例が載っている。

 

 前者は、30歳代男性で両下腿浮腫としびれ、労作時の息切れで受診した。食事は白米のみという偏食傾向があった。脚気心は、ビタミンB1欠乏による末梢血管拡張と高心拍性心不全をきたす疾患。下肢有意の感覚障害と腱反射の消失で、ビタミンB1欠乏が疑われた。

 「ビタミンB1の投与が唯一有効な治療法で、利尿薬の使用はビタミンB1の尿中排泄を促進するため、かえって心不全を増悪させてしまう可能性がある。

 

 後者は、両下腿浮腫で受診した68歳女性で、ひとり暮らしで3食はしっかり摂取しているが、偏食傾向がある。近医から利尿薬を処方されたが改善がなく、悪化していた。

 腱反射の消失からビタミンB1欠乏が疑われた。ビタミンB1投与により、浮腫は速やかに改善している。(浮腫の原因として、心・腎・肝・内分泌・薬剤性・低アルブミンは否定されている)

 「利尿薬はビタミンB1の排泄を促進するため、心不全で入院中の患者3人に1人がビタミンB1欠乏といわれている。適切な心不全管理をしているのも関わらず、浮腫の改善が乏しい場合は、ビタミンB1の血中濃度を測定してみる。

 両者とも程度の違いだけで病態としては同じことなのだろう。

 

 普段ビタミンB1のことをあまり意識していないが、もっとビタミンや微量元素の不足を考えておく必要がある、と反省した。

 

さらに!一発診断100 (プライマリケアの現場で役立つ)

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