起居を共にしている家族の変化に気づかなかったのかと思うほどの状態で来院する患者が増えてきた。
ゆっくりと進行してきたので、毎日の変化は微妙であったから気付かなかったのかとも思うが。
”そんなに具合悪いんですか?聞いても大丈夫だって言ってたのに。
何で具合悪いと言わなかったんだろう”
虫の息で、もうろうとして横たわっている傍らの妻の言葉。この言葉が言い終わるか否かに、返答のなかった患者が、突然
”具合はずっと悪かったんだ!” と怒鳴り始めた。
肺気腫の所見がありますと告げた時、家族は
”聞いたことありません。本当ですか?”とくってかかってきた。
当院の主病名は、急性骨髄性白血病であるので、それ以外の病名を告げられるのは、面白くなかったのだろうか?
最近、説明していると ”そんなこと言われたくない!” と切り返し、つっかかる家族が増えてきた。
家族の態度で、傷つき、寂寥感を味わうことが多い1年でもあった。
重篤で、死と隣り合わせな疾患を対象としているので、家族の対応を赤裸々に見せつけられ、
家族の態度で、傷つき、寂寥感を味わうことが多い1年でもあった。
何度も何度も説明を求められるのにも辟易した。
”家族だから知りたいのは当然でしょう”
”知らないから聞いているんだ”
”素人なんだから、わからないんのは当然でしょう”
と開き直られ、言葉を失うことも多かった。
”お話を聞きたい”と言ってくるとき、
患者の病状を案じてではないことがほとんどであるのも、
医師として、家族に傷つけられた(具合が悪い患者は足手まといとしか思っていないのか!)
患者は変わっていないが家族の態度は変わったと思う。
(患者のわがままは許せるという医者の気持ちのせいだけではないと思っている。)
家族のお互いをいたわる気持ちは社会の核。
来年も、世界をつなぐ輪、和の始まりであリ続けてほしい。