山本周五郎著、新潮社カセットブック刊
人が気高く生きることは難しい。だから、気高く生きている人を描くことも難しいと思います。当たり前に描いたのでは絵空事になってしまい、心に響くことはないと思います。山本さんの作品は、そうした生き方をした人を描いた作品がいくつかありますが、本書もその一つです。
これ程に人は、他者に温かい眼差しを注ぐことが出来るのだろうか?と思わせる本作の主人公高林喜兵衛は、良家から嫁いだ気位の高い、世間の狭い奥方と、奥方に似たと思われる体質の長男と暮らしている。かつかつの生活ながら、屋敷の裏木戸を開けておき、木戸内にお金を入れた小箱を置いて、本当にお金に困った人々が、誰にも会わずに、一時借りることが出来るようにしている。
ある日、そのことを知った奥方の弟が・・・。
聞いていて胸が苦しくなるような主人公の直向きさ一途さが、次第に身体の中に染みこんで行く気がします。生きているのもまんざら悪くない、と感じさせる作品です。作者の晩年の作品とあって、簡素な表現でありながら、深みを感じさせます。
評価は4です。
人が気高く生きることは難しい。だから、気高く生きている人を描くことも難しいと思います。当たり前に描いたのでは絵空事になってしまい、心に響くことはないと思います。山本さんの作品は、そうした生き方をした人を描いた作品がいくつかありますが、本書もその一つです。
これ程に人は、他者に温かい眼差しを注ぐことが出来るのだろうか?と思わせる本作の主人公高林喜兵衛は、良家から嫁いだ気位の高い、世間の狭い奥方と、奥方に似たと思われる体質の長男と暮らしている。かつかつの生活ながら、屋敷の裏木戸を開けておき、木戸内にお金を入れた小箱を置いて、本当にお金に困った人々が、誰にも会わずに、一時借りることが出来るようにしている。
ある日、そのことを知った奥方の弟が・・・。
聞いていて胸が苦しくなるような主人公の直向きさ一途さが、次第に身体の中に染みこんで行く気がします。生きているのもまんざら悪くない、と感じさせる作品です。作者の晩年の作品とあって、簡素な表現でありながら、深みを感じさせます。
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