アップルVS.グーグル どちらが世界を支配するのか

フレッド・ボーゲルスタイン著、新潮文庫刊
アップルの魅力的な製品が世界を変えてきたことは万人が認める所でしょう。ほかの要素があったとしても、ジョブズの強烈な個性が大きく関与していることもまた同様です。特にジョブズがアップルに帰還してからの快進撃は驚異的でした。ｉＰｏｄ、ｉＰｈｏｎｅ、ｉＰａｄのネーミングは、アップルの一貫した戦略と先見性を感じさせます。最も、それらの製品が消費者に受け入れられ、用途を拡大する流れを渦中で予測出来た人はほとんどいなかったと思います。この３つの製品をひとくくりにすると、かつての印刷が果たした役割に匹敵する大規模な文化駆動装置だったのではないかと思います。
本書は、そうしたアップルの技術革新と平行してインターネット上の情報の蓄積、処理、活用において画期を作り上げたグーグルが、将来のネット情報の出入り口を確保すべく、アップルと対立せざるを得ない状況に立ち至り、アップルとは異なった戦略でスマホとタブレットを市場に送り出して数年までを描いています。
著者は自らの幅広く深い情報を整理統合し、起きた事柄を整理して、背後の動きを構成した力量に感服しました。また、世界を動かす情報の量と質とが、近年のモバイル機器でどの様な変化したのか、そして、それらを糧とする企業の戦略や行動の変化を正確に分析しています。複雑な動きが簡潔に整理されて、単なる群像劇に終わらない、ダイナミックな闘争の歴史を描いていて秀逸です。本書を読了して、現在、に映像を巡る企業間の凄まじいサービス競争の意味の一端を理解出来たように桃います。
評価は４です。

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