読書三昧

本は一冊一冊がワンダーランド。良い本との出会いは一期一会。そんな出会いを綴ります。

インパール

2010年12月01日 19時55分04秒 | ■読む
高木俊朗著、文春文庫刊
知人にインパール作戦に従軍した方がいます。ふとしたことで、その方の経歴を聞いた時、確か「インパール作戦」は多くの犠牲者を出した大変な作戦であったと知っていたので、なぜ生き残れたのかを聞いた所、「衛生兵だったので、生水を飲んではいけないこを教育されて知っていたからだ。多くが赤痢で動けなくなって死んでいった。」と語っていました。実に温厚なお人柄の経歴に、凄まじい経歴があって驚きました。
さて、本書は、その作戦に従軍した著者が書いた作品です。結果的に失敗したこの作戦を、氏の視点から描いた作品です。下記URLに見られるように、未だに評価が揺れ動いているようです。
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URL => http://ja.wikipedia.org/wiki/高木俊朗
     http://ja.wikipedia.org/wiki/インパール作戦
     http://ja.wikipedia.org/wiki/牟田口廉也#.E4.B8.80.E8.88.AC.E7.9A.84.E3.81.AA.E8.AA.8D.E8.AD.98.E3.81.A8.E3.81.AF.E7.95.B0.E3.81.AA.E3.82.8B.E8.A6.8B.E8.A7.A3
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私の感想は、組織が硬直化すると愚行がまかり通る、ということです。愚かな指導者には愚かな部下や追従者が集い、まともな意見や考え方を遠ざけてしまうものです。最近の検察の不祥事も、超えてはならない一線を、そのそばまでいつも行っているために、超えてしまったのだと思います。
誰の人生では、こうした局面が何度か訪れるはずです。そして、その時点では自分では気づかないことが多い。後になって、ぞっとすることがあるものです。しかし、組織の一員として、組織の内情や組織が置かれている状況に埋没してしまうと、組織の論理や損得だけで決してします。また、自身の利益を考えて誤った判断をしてします。こうしたことは、私自身にもあり、常日頃見聞きします。
だから、人が判断することには常に誤りが含まれることを覚悟して決せることが肝要だと思います。そうした意味で、本書が告発する牟田口氏や陸軍の在り方は、自身を振り返らないという点で、間違っているのっだと思います。本書の主張が正しいかはともかく、弱者の立場から問題を提起している点を評価します。また、本当に悲惨な状況を淡々と描いていて、却って恐ろしさを増す記述が素晴らしいと思います。
評価は5です。

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