読書三昧

本は一冊一冊がワンダーランド。良い本との出会いは一期一会。そんな出会いを綴ります。

北方謙三の「水滸伝」ノート

2021年05月21日 08時33分58秒 | ■読む

北方謙三著、NHK出版生活人新書刊

小説すばるに連載されている北方さんの小説「チンギス記」にすっかり魅了されました。
現在も連載中ですが、単行本が既に10巻発行されているようです。
小説すばる1号分の文章を読むのに2時間程度掛かりますから、かなりのボリュームを連載し続けています。

小説家、見てきたような・・・、というフレーズを思い浮かべるほど、人物描写が細やかです。
また、無関係と思える物語が並列して進行し、後に関連性が明らかになる。
記述の対象が、経済、産業、兵站など、広範囲に及ぶ。
一人ひとりの登場人物のキャラクタがしっかりと描かれていてぶれていない。
とにかく「アツい」
などなど、「????」の連続ながら、何とも面白く、毎号を楽しみにしています。

たまたま本書を見掛け手に取り、上記の「???」の謎の大方が解けました。
対象となる人物や時代背景を把握し、その上で、北方さんの解釈と意味付けによって、物語の大きな枠組みを組み立てる。
その際に、中心となるテーマを支える、経済、軍事、文化などの要因を吟味し再構成する。
人物設定も独自の解釈と意味づけの下で行っている。

そして、本書の200ページで「男の死に様、生き様を描くことで、読む人の心を動かす小説を書く。」と述べられています。

五木寛之さんの「親鸞」も同様に、独自の解釈で物語を作り上げていて魅力的ですが、この「アツい」感じは、北方さん独自のもので、私の好みです。

いつまで連載が続くのか、楽しみであり不安でもあります。
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北方謙三  ○チンギス紀
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評価は4です。

※壁紙専用の別ブログを公開しています。
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