読書三昧

本は一冊一冊がワンダーランド。良い本との出会いは一期一会。そんな出会いを綴ります。

美人とは何か?

2011年03月26日 15時43分30秒 | ■読む
中村うさぎ著、集英社文庫刊
久方振りに、酒井順子さん以来の好書に出会いました。いやぁ~面白かった。私の高校時代、同級生が近くにぼんやり座っていた爺さんを指さして「おい、あのジジイ、いい顔してんな」と言ったのですが、私は「何だよ、ただのジジイじゃねえか。面白くもねえ」と答えました。するとカレは「オメーはしょーがねーなー」と哀れんだような風に生意気にも言ったのでした。思い返せば、当時の私は、顔の美醜を感じても、味のある表情などには全く興味を感じていなかったのだと思います。
そんな私ですが、長じるに及んで、自分の好みが明確になるに従って、「何故これを良いと感じるのだろーか?」と疑問を抱くようになりました。今日では、私の好みも大分固まってきており、自己分析がしやすくなってきましたが、それでも、例えば、綺麗だなぁ~、と感じる女性の顔について、どーして綺麗だ!と感じるのか、はなはだ疑問でした。それで、美人論に関心を持ち、結構多くの書籍を読んできましたが、分野を問わず、本書は今までのベスト本です。
著者の中村さんが、これまた凄い。相当に壊れた人のようですが、壊れていることを繕っていないのが凄い。ご自身が整形手術をしたそうなので、ネットで検索すると出て来た出て来た。顔の輪郭が見事に変わっていて、印象が大分変わっています。ベストショットなど、フェイ・ビンビン(褒め過ぎか?)にも似ているよーな?
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URL => http://ja.wikipedia.org/wiki/中村うさぎ
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さて、本書は、ブスと美人を対比させ美人とブスの有り様を定義した上で、デブやブスと言われている人達の心理や、女性世界におけるブスの位置づけを見事に浮き彫りにしています。そして、巻末の対談がまた面白い。小谷野敦さんの浮き上がりっぱなしの唯我独尊に基づく実在感のなさが見事に現れている、笑える対談。そしてマツコ・デラックスとエスムラルダとの小気味良くて切れ味の良い対談。
中村さんの著作は初めてですが、こんなにも生きることの本質を、現実の一つ一つを舐めるようにして確認しながら模索し続けている生き様に、心底、感動しました。あなたは偉い。偉大です。
評価は5です。

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