日高義樹著、徳間文庫刊
本書は2012年出版ですが、元々は1973年に出版された物の再出版のようです。
ペンタゴン(国防総省)の成立と発展の過程を振り返ると共に、ベトナム戦争の終結で、アメリカ人が深い挫折感と軍部への不信が高まった時期の著作です。
今日でも世界最強の軍隊を擁するアメリカの中枢機能を担い、暗躍を繰り広げた様子が紹介されています。
自由の国アメリカの国民が、大統領選挙を巡って分断されてしまった今日からすると、厳しい状況に直面した当時の状況は、それ程とは思えませんが、不敗神話の挫折と揺るぎない価値観の揺らぎにとまどうアメリカ国民の姿が描かれています。
著者は、政(議員)、官(国防総省)、そして財(軍事産業)の共生が生み出す、必要十分の範囲を遙かに逸脱した利権と権力のあり方を批判しています。
社会運営の陰には、常にいかがわしさが存在し、その根源は「人の欲」であろうと思います。
投票そのものが、人々の利害の表出でもあるので、民主主義とは、「人の欲」を是認しつつも、互いに牽制し合って、危ういバランスを保とうとする仕組みと思います。
現実に癒着があるのであれば、「人の欲」故に生じる「不都合」の構造を正すべきでしょうが、それが現実には非常に困難であることが分かります。
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○日高義樹 ○ペンタゴン
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評価は3です。
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